LUME-Meso試験:悪性胸膜中皮腫のシスプラチン+ペメトレキセドにニンテダニブを上乗せしてもPFSは延長せず

LUME-Meso試験:悪性胸膜中皮腫のシスプラチン+ペメトレキセドにニンテダニブを上乗せしてもPFSは延長せず_e0156318_1214596.jpg 第2相試験では有効とされていた試験でした。

Giorgio V Scagliotti, et al.
Nintedanib in combination with pemetrexed and cisplatin for chemotherapy-naive patients with advanced malignant pleural mesothelioma (LUME-Meso): a double-blind, randomised, placebo-controlled phase 3 trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(19)30139-0


背景:
 ニンテダニブは悪性胸膜中皮腫の発症に関連するVEGF、FGF、PGFおよびSrc、Ablのシグナル伝達に関わる受容体を標的としている。そこで、われわれは切除不能悪性胸膜中皮腫に対してシスプラチン+ペメトレキセドにニンテダニブを上乗せした場合の効果と安全性をLUME-Meso試験の最終報告を提示する。

方法:
 これは、世界27ヶ国、120施設で実施された二重盲検第3相試験である。18歳以上の切除不能上皮型悪性胸膜中皮腫で、ECOG PSが0-1である未治療患者をランダムに1:1の割合で、21日サイクル6コースのシスプラチン(day1)+ペメトレキセド(day1)+ニンテダニブ(200mg1日2回、day2-21)あるいはシスプラチン+ペメトレキセド+プラセボのいずれかの群に割り付けられた。6コース後に進行がなかった患者はそのままニンテダニブあるいはプラセボの維持療法を続けた。プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)だった。安全性は試験薬を1回でも投与された患者で評価した。

結果:
 2016年4月14日~2018年1月5日のあいだに、541人の患者がスクリーニングされ、458人がランダムにニンテダニブ上乗せ群(229人)、プラセボ群(229人)に割り付けられた。ニンテダニブ群の治療期間中央値は5.3ヶ月(IQR2.8-7.3ヶ月)で、プラセボ群は5.1ヶ月(IQR2.7-7.8ヶ月だった)。PFSに群間差はみられなかった(ニンテダニブ群6.8ヶ月 vs プラセボ群7.0ヶ月、ハザード比1.01[95%信頼区間0.79-1.30]、p=0.91)。もっともよくみられたグレード3以上の有害事象は、好中球減少(ニンテダニブ群32% vs プラセボ群24%)だった。重篤な有害事象はニンテダニブ群の44%、プラセボ群の39%にみられた。

結論:
 LUME-Meso試験において第2相試験でみられた効果はPFSの観点からは達成されなかった。



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by otowelt | 2019-05-18 00:20 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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