Novel START試験:シムビコート®頓用は軽症喘息に最適な選択肢?

Novel START試験:シムビコート®頓用は軽症喘息に最適な選択肢?_e0156318_9473145.png 重症喘息に対する治療にばかり目が向くなか、軽症喘息にしぼった実臨床的な臨床試験です。来月のドクターズアイで解説したいと思います。ATS2019ニュースではうっかりSMART療法と書きましたが、厳密にはSMART療法の「M」がベースラインにないので、違いますね。

Richard Beasley, et al.
Controlled Trial of Budesonide–Formoterol as Needed for Mild Asthma
NEJM, May 19, 2019, DOI: 10.1056/NEJMoa1901963


背景:
 二重盲検プラセボ対照試験において、必要時頓用のブデソニド/ホルモテロールは短時間作用性β2刺激薬よりも重症増悪のリスクを減らし、またブデソニド維持療法+SABA頓用と同等のリスクであることが示されている。実診療をより反映するように設計された臨床試験からデータが得られれば有益であろう。

方法:
 われわれは軽症喘息の成人における52週間のランダム化オープンラベル並行群間比較試験を実施した。患者はランダムに3群治療のうちの1つに割り付けられた:サルブタモール(文献ではアルブテロールと記載)(100μg2吸入[pMDI])(サルブタモール群)、ブデソニド(200μg1吸入1日2回[タービュヘイラー])(ブデソニド維持群)、ブデソニド/ホルモテロール(200μg/6μg必要時1吸入頓用)(ブデソニド/ホルモテロール群)。吸入デバイスを電子的に監視し、薬物使用を測定した。プライマリアウトカムは年間喘息増悪率とした。

結果:
 解析にはランダム化された675人のうち668人が含まれた。年間増悪率は、サルブタモール群よりもブデソニド/ホルモテロール群の方が低く(絶対率0.195 vs 0.400、相対率0.49、95%信頼区間0.33-0.72、p<0.001)、ブデソニド維持群とは有意差はなかった(絶対率0.195 vs 0.175、相対率1.12、95%信頼区間0.70-1.79、p=0.65)。重症増悪数はブデソニド/ホルモテロール群のほうがサルブタモール群(9 vs 23, 相対リスク0.40、95%信頼区間0.18-0.86)、ブデソニド維持群(9 vs 21, 相対リスク0.44、95%信頼区間0.20-0.96)よりも低かった。平均(±標準偏差)吸入ブデソニド用量はブデソニド/ホルモテロール群で107±109μg/日、ブデソニド維持群で222±113μg/日だった。有害事象については、過去の臨床試験や実臨床において報告されている頻度やタイプと一致していた。

結論:
 軽症喘息の成人患者を含むオープンラベル試験において、ブデソニド/ホルモテロール頓用使用はサルブタモール頓用使用よりも喘息増悪予防に優れていた。



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by otowelt | 2019-05-25 00:48 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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