モザイクパターンはIPFでもよくみられる

モザイクパターンはIPFでもよくみられる_e0156318_10574046.jpg モザイクパターンらしい所見があると、CHP>IPFという風潮に流れるは不自然だなと思っていましたが、このあたりの疾患は極めてheterogeneousな集まりを分類しているという認識なので、そもそも二元論ありきなのもしっくりきていません。
 
Barnett J, et al.
Variable Utility of Mosaic Attenuation to Distinguish Fibrotic Hypersensitivity Pneumonitis from Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
Eur Respir J. 2019 Jun 4. pii: 1900531. doi: 10.1183/13993003.00531-2019.

背景:
 CTにおけるモザイクパターンは、特発性肺線維症(IPF)とは対照的に、線維性過敏性肺炎(FHP)の重要な診断的特徴として国際ガイドラインで認識されている。しかしながら、モザイクパターンには、複数の異なる放射線学的徴候(low density lobules[LDL]、preserved lobules [PL]、air trapping [AT]、そしていわゆる"headcheese sign")が提示されており、診断有用性が異なる可能性がある。さらに2疾患における鑑別にモザイクパターンの拡がりの差が必要かどうかは定かではなく、国際ガイドラインにおいても妥当性の検証はされていない。

方法:
 吸気および呼気CTが102人の患者(IPF57人、FHP45人)で実施され2人の専門家によってモザイクパターンの半定量スコアリングが評価された。所見については外的妥当性の検証がなされた(IPF34人、FHP28人)。

結果:
 LDLおよびATはIPFでよく観察され、患者の51%にのぼった。ガイドライン(ATSおよびFleischner Society)に基づくLDLおよびATの拡がりの増加は、FHPの診断特異度上昇と関連していたが(それぞれ96%、98%)、感度は低下させた(それぞれ16%、20%)。headcheese signは、FHP診断に高い特異度を有し(93%)、中等度の感度(49%)を有していた。外部コホートにおいて、headcheese signは、FHPに特徴的とされるCT所見の妥当性が否定される中、高い特異度を維持した(読影者1,2でそれぞれ94%、95%)。
モザイクパターンはIPFでもよくみられる_e0156318_14202017.png
(文献より引用)

結論:
 モザイクパターンはIPFでも頻繁にみられる所見である。しかしながら、headcheese signはIPF診断にはそぐわず、FHPに特異的と考えられる所見である。



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by otowelt | 2019-06-25 00:58 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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