最近発症した咳嗽が遷延化するリスク因子
2019年 07月 03日
個人的には咳嗽の遷延化は、圧倒的に女性に多いなと思っておりますし、実際外来でもほとんどが女性です。
家族歴については遺伝的なものの可能性と、居住に関連するものの可能性の2つがありますが、どちらが原因なのかはよく分かっていません。個人的には前者だと思っています。
Lätti AM, et al.
Predictors of prolongation in recent-onset cough.
ERJ Open Res. 2019 May 28;5(2). pii: 00238-2018. doi: 10.1183/23120541.00238-2018.
背景:
慢性咳嗽は、QOLを著しく障害し、しばしば治療抵抗性となる。早期の段階での介入によって、咳嗽が慢性化することを防ぐことができる。これを達成するために、咳嗽が遷延化しやすい患者を同定することが必要になる。この研究では、直近で咳嗽を発症した患者において、12ヶ月時点で咳嗽が存在する予測する因子を検証した。
方法:
これは、生産年齢で構成された地域ベースの集団における前向き観察追跡研究である。初回e-mailサーベイが2017年に実施され、現在の咳嗽とそのリスク因子について包括的な質問がなされた。直近(8週間以内)に発症した咳嗽を報告した259人に対して、12ヶ月後に追跡質問票を送った。
結果:
回答率は72.6%(188人)だった。女性が84%を占めた。平均年齢は50.1±10.4歳だった。2018年には99人(52.7%)が咳嗽を有していた。多変量解析において以下の因子が12ヶ月後の咳嗽を予測していた:喘鳴(補正オッズ比2.80、95%信頼区間1.3-5.27)、犬を飼っている(補正オッズ比2.56、95%信頼区間1.21-5.44)、咳嗽が3週間を超えて持続(補正オッズ比2.29、95%信頼区間1.11-4.76)、慢性咳嗽の家族歴(補正オッズ比2.20、95%信頼区間1.13-4.30)、BMI>25(補正オッズ比2.06、95%信頼区間1.02-4.15)、身体症状の頻度が高い(補正オッズ比1.36、95%信頼区間1.13-1.64)。29人(15.4%)が持続性咳嗽であり、66人(35.1%)が再発性咳嗽であった。リスク因子は再発性と持続性の間ではまったく異なるものであった。 (文献より引用:多変量解析)
喫煙歴が変わったのは全体の0.5%であり、当該解析結果には影響を与えなかった。
結論:
最近発症した咳嗽の患者において、咳嗽が長期化するリスク因子を特定することは可能かもしれない。早期介入はこの種の患者を対象とするべきである。
家族歴については遺伝的なものの可能性と、居住に関連するものの可能性の2つがありますが、どちらが原因なのかはよく分かっていません。個人的には前者だと思っています。
Lätti AM, et al.
Predictors of prolongation in recent-onset cough.
ERJ Open Res. 2019 May 28;5(2). pii: 00238-2018. doi: 10.1183/23120541.00238-2018.
背景:
慢性咳嗽は、QOLを著しく障害し、しばしば治療抵抗性となる。早期の段階での介入によって、咳嗽が慢性化することを防ぐことができる。これを達成するために、咳嗽が遷延化しやすい患者を同定することが必要になる。この研究では、直近で咳嗽を発症した患者において、12ヶ月時点で咳嗽が存在する予測する因子を検証した。
方法:
これは、生産年齢で構成された地域ベースの集団における前向き観察追跡研究である。初回e-mailサーベイが2017年に実施され、現在の咳嗽とそのリスク因子について包括的な質問がなされた。直近(8週間以内)に発症した咳嗽を報告した259人に対して、12ヶ月後に追跡質問票を送った。
結果:
回答率は72.6%(188人)だった。女性が84%を占めた。平均年齢は50.1±10.4歳だった。2018年には99人(52.7%)が咳嗽を有していた。多変量解析において以下の因子が12ヶ月後の咳嗽を予測していた:喘鳴(補正オッズ比2.80、95%信頼区間1.3-5.27)、犬を飼っている(補正オッズ比2.56、95%信頼区間1.21-5.44)、咳嗽が3週間を超えて持続(補正オッズ比2.29、95%信頼区間1.11-4.76)、慢性咳嗽の家族歴(補正オッズ比2.20、95%信頼区間1.13-4.30)、BMI>25(補正オッズ比2.06、95%信頼区間1.02-4.15)、身体症状の頻度が高い(補正オッズ比1.36、95%信頼区間1.13-1.64)。29人(15.4%)が持続性咳嗽であり、66人(35.1%)が再発性咳嗽であった。リスク因子は再発性と持続性の間ではまったく異なるものであった。
喫煙歴が変わったのは全体の0.5%であり、当該解析結果には影響を与えなかった。
結論:
最近発症した咳嗽の患者において、咳嗽が長期化するリスク因子を特定することは可能かもしれない。早期介入はこの種の患者を対象とするべきである。
by otowelt
| 2019-07-03 00:04
| 呼吸器その他