IPFに対するニンテダニブの6臨床試験のプール解析

IPFに対するニンテダニブの6臨床試験のプール解析_e0156318_10574046.jpg 11年は言い過ぎかなと思いますが。

Lancaster L, et al.
Safety and survival data in patients with idiopathic pulmonary fibrosis treated with nintedanib: pooled data from six clinical trials.
BMJ Open Respir Res. 2019 Mar 25;6(1):e000397.


背景:
 ニンデタニブは、努力性肺活量の減少率を抑制することで、特発性肺線維症(IPF)患者の疾患進行をゆるやかにし、ほとんどの患者において有害事象プロファイルはマネジメント可能である。われわれは、ニンテダニブの安全性と忍容性を特徴づけ、生存に対する効果を検証した6つの臨床試験のデータを用いた。

方法:
 ニンテダニブ150mg1日2回あるいはプラセボを52週間治療されたTOMORROW試験、またそのオープンラベル拡大試験である52週間の2つのINPULSIS試験、同INPULSIS-ON試験、6ヶ月以上を追跡した第IIIb相プラセボ対照比較試験からデータをプールした。原因を問わず、すべての有害事象が記述的解析に組み込まれた。パラメトリック生存分布をプールされたKapla-Meier生存データに適合させ、長期生存を推定するため外挿した。
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(文献より引用)

結果:
 1126人のニンテダニブ群患者、565人のプラセボ患者が登録された。平均ニンテダニブ治療期間は28ヶ月だった。新しい安全性懸念は発生しなかった。出血、肝機能障害、心血管系イベントの頻度は、INPULSIS試験で観察されたものと同等だった。下痢は、INPULSIS試験のニンテダニブ治療群よりもプールデータのほうが低く(76.5 vs 112.6イベント/100患者曝露年)、永続的な治療中断にいたる頻度は低かった(3.6イベント/100患者曝露年)。Weibull分布に基づくと、平均生存期間はニンテダニブ治療患者で11.6年(95%信頼区間9.6-14.1年)、プラセボ治療患者で3.7年(95%信頼区間2.5-5.4年)と推定された。
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(文献より引用)

結論:
 6つの臨床試験のプールデータに基づくと、ニンテダニブの有害事象プロファイルはほとんどの患者でマネジメント可能だった。生存データの外挿による探索的解析では、IPF患者におけるニンテダニブ投与は余命を延長させると考えられる。



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by otowelt | 2019-07-04 00:01 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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