4m歩行速度は慢性呼吸器疾患患者の活動レベルと相関

4m歩行速度は慢性呼吸器疾患患者の活動レベルと相関_e0156318_10445780.jpg こういう研究、ものすごく好きです。個人的に。
 ERJで2013年に報告があるので、そちらの記事も参考にしてください。

・COPDにおける4m歩行速度の有用性

Yoshida C, et al.
Four-meter gait speed predicts daily physical activity in patients with chronic respiratory diseases.
Respir Investig. 2019 May 13. pii: S2212-5345(18)30221-1.


背景:
 身体活動性指標は、進行性の慢性呼吸器疾患のアセスメントに対して有用である。4m歩行速度(4MGS)は高齢者の機能アセスメントとして確立されている。しかしながら、慢性呼吸器疾患の患者における4MGSと日常活動の関連性は完全に理解されていない。本研究は、慢性呼吸器疾患の患者において、4MGSが身体活動レベル(PAL)を含む日常活動を予測できるかどうか調べることを目的とした。

方法:
 間質性肺疾患やCOPDを含む慢性呼吸器疾患患者57人が登録され(20歳以上、安静時酸素飽和度が90%以上)、4MGSとさまざまな臨床パラメータ(肺機能、6分間歩行試験[6MWT]、加速度計を用いた日常活動)の相関性を評価した。線形回帰分析を用いて日常活動の有意な予測因子を同定した。
4m歩行速度は慢性呼吸器疾患患者の活動レベルと相関_e0156318_1211947.png

結果:
 57人の平均年齢は68.1 ± 11.3歳で、男性が44人、平均BMIは22.6 ± 3.4だった。間質性肺疾患が37人、COPDが16人、その他が4人という内訳だった。修正MRC息切れスケールは30人が1で、平均%1秒量は71.8 ± 22.3%、平均6MWDは405.6 ± 86.2mだった。
 4MGSは、1日歩数、PAL、6分間歩行距離と有意な相関がみられた(それぞれr = 0.477, p < 0.001; r = 0.433, p = 0.001; r = 0.593, p < 0.001)。
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(4MGSと6MWDの相関[文献より引用])

 多変量線形回帰分析において、4MGSは%1秒量を予測し、BMIはPALの独立予測因子であることが示された。ROC解析では、4MGS<1.07m/秒は非活動的PALを予測するて適切なカットオフだった (AUC 0.728; 95%信頼区間0.589–0.866、陽性的中率55.6%、陰性的中率80.0%)。
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(ROC解析[文献より引用])

 修正MRC息切れスケールや酸素化プロファイルが同等であるにもかかわらず、4MGSが遅い患者(30人)は、速い患者(27人)と比べて有意に6MWD、1日歩数、PALが低かった。

結論:
 4MGSは、簡便におこなえる検査であり、慢性呼吸器疾患患者における日常活動の悪化を予測する有用な指標である。





by otowelt | 2019-07-05 00:54 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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