COPDにおける吸入ステロイドは骨折と関連しているか?

COPDにおける吸入ステロイドは骨折と関連しているか?_e0156318_23175684.jpg 結局わからんということです。

Caramori G, et al.
Long-term use of inhaled glucocorticoids in patients with stable chronic obstructive pulmonary disease and risk of bone fractures: a narrative review of the literature.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 May 23;14:1085-1097.


背景:
 COPD患者は、一般集団より骨粗鬆症の頻度が高い。この骨粗鬆症リスクは、COPDマネジメントに長時間作用性気管支拡張薬との併用が支持されている吸入ステロイド(ICS)によって上昇するかもしれないが、骨密度(BMD)の減少とも関連しているかもしれない。

方法:
 われわれは、骨折とICS治療の関連についてさらなる知見を示すべく、少なくとも12ヶ月のICS vs プラセボ治療を観察したランダム化比較試験(RCT)のナラティブレビューを実施した。
 
結果:
 2017年10月16日までに、17のRCTが同定された。研究で使用されたICSは、ブデソニド(6研究)、フルチカゾンプロピオン酸エステル(5研究)、モメタゾンフランカルボン酸エステル(3研究)、ベクロメタゾンジプロピオン酸エステル(1研究)、トリアムシノロンアセトニド(1研究)、フルチカゾンフランカルボン酸エステル(1研究)である。骨折データを有していた6つのRCTにおける骨折数に、ICSとプラセボ間の有意差はなかった。いくつかの研究のサブグループにおいてBMDデータが得られたが、ベースラインのBMDデータは稀だった。これらのデータが観察されたものをみても、BMDに影響を与えることが分かっている因子によって層別化されているわけではなかった。たとえば喫煙や身体活動性といった、BMDと骨折を減らすリスク因子についても、ほとんど報告はなかった。さらに、「骨折」という標準的な用語の定義はどの研究でも採用されていなかった。

結論:
 われわれのレビューでは、安定期COPDにおける長期ICS使用と骨折頻度の正確な関連性は不明だった。しかしながら、この関連性を調べるための将来的なRCTの基盤を形成する上でいくつかの因子を特定できた。



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by otowelt | 2019-07-11 00:09 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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