進行したIPF患者でもピルフェニドンは有用か?
2019年 07月 12日
重症例に対してもピルフェニドンは臨床的利益があるという事後解析結果です。
Nathan SD, et al.
Pirfenidone in patients with idiopathic pulmonary fibrosis and more advanced lung function impairment.
Respir Med. 2019 Jul;153:44-51.
背景:
特発性肺線維症(IPF)患者は、さまざまな程度の肺機能障害をきたす。しかしながら、プラセボと比較した抗線維化薬の効果は、病状が進展した患者ではアセスメントされていない。この事後解析では、IPF患者でより肺機能障害が進行した集団(%努力性肺活量<50%または%DLCO<35%)において、プラセボと比較したピルフェニドンの効果および安全性を調べた。
方法:
ASCEND試験およびCAPACITY試験においてピルフェニドン2403mg/日あるいはプラセボにランダム化された患者のうち、より肺機能障害が進行した集団(ピルフェニドン90人、プラセボ80人)が組み込まれた。52週におよび、死亡、肺機能、入院、運動耐容能、呼吸困難が調べられた。
結果:
平均年齢はピルフェニドン群70歳、プラセボ群69歳だった。男性はそれぞれ82.2%、73.8%だった。在宅酸素療法を使用している患者はピルフェニドン群の42.2%、プラセボ群の40.0%だった。ほぼ全例が胸部HRCTにおいてdefinite UIPだった。
52週時点で、プラセボと比較したピルフェニドンは有意に総死亡リスクを減少させた(ハザード比0.28、95%信頼区間0.09-0.86、p=0.0180、NNT10)(図)。
(文献より引用:総死亡)
また、10%以上の%努力性肺活量減少あるいは総死亡のリスク(ハザード比0.40、95%信頼区間0.23-0.69、p=0.0006、NNT5)(図)、10%以上の%努力性肺活量減少あるいは呼吸関連入院あるいは総死亡のリスク(ハザード比0.46、95%信頼区間0.28-0.76、p=0.0018、NNT5)を減少させた。 (文献より引用:10%以上の%努力性肺活量減少あるいは総死亡)
52週時点で、プラセボ群において、6分間歩行距離中央値の差は36.7m増加し、the University of California-San Diego Shortness of Breath Questionnaire総スコアは8.0点減少した。治療中断にいたる有害イベントは、ピルフェニドン群14.4%、プラセボ群21.3%だった。皮疹はピルフェニドン群28.9%、プラセボ群8.8%で、下痢は同等だった。
結論:
ピルフェニドンは、IPF患者および進行した集団においても、有害事象によって治療中断リスクを上昇させることなく、複数のドメインを通して臨床的利益があることが示された。
Nathan SD, et al.
Pirfenidone in patients with idiopathic pulmonary fibrosis and more advanced lung function impairment.
Respir Med. 2019 Jul;153:44-51.
背景:
特発性肺線維症(IPF)患者は、さまざまな程度の肺機能障害をきたす。しかしながら、プラセボと比較した抗線維化薬の効果は、病状が進展した患者ではアセスメントされていない。この事後解析では、IPF患者でより肺機能障害が進行した集団(%努力性肺活量<50%または%DLCO<35%)において、プラセボと比較したピルフェニドンの効果および安全性を調べた。
方法:
ASCEND試験およびCAPACITY試験においてピルフェニドン2403mg/日あるいはプラセボにランダム化された患者のうち、より肺機能障害が進行した集団(ピルフェニドン90人、プラセボ80人)が組み込まれた。52週におよび、死亡、肺機能、入院、運動耐容能、呼吸困難が調べられた。
結果:
平均年齢はピルフェニドン群70歳、プラセボ群69歳だった。男性はそれぞれ82.2%、73.8%だった。在宅酸素療法を使用している患者はピルフェニドン群の42.2%、プラセボ群の40.0%だった。ほぼ全例が胸部HRCTにおいてdefinite UIPだった。
52週時点で、プラセボと比較したピルフェニドンは有意に総死亡リスクを減少させた(ハザード比0.28、95%信頼区間0.09-0.86、p=0.0180、NNT10)(図)。
また、10%以上の%努力性肺活量減少あるいは総死亡のリスク(ハザード比0.40、95%信頼区間0.23-0.69、p=0.0006、NNT5)(図)、10%以上の%努力性肺活量減少あるいは呼吸関連入院あるいは総死亡のリスク(ハザード比0.46、95%信頼区間0.28-0.76、p=0.0018、NNT5)を減少させた。
52週時点で、プラセボ群において、6分間歩行距離中央値の差は36.7m増加し、the University of California-San Diego Shortness of Breath Questionnaire総スコアは8.0点減少した。治療中断にいたる有害イベントは、ピルフェニドン群14.4%、プラセボ群21.3%だった。皮疹はピルフェニドン群28.9%、プラセボ群8.8%で、下痢は同等だった。
結論:
ピルフェニドンは、IPF患者および進行した集団においても、有害事象によって治療中断リスクを上昇させることなく、複数のドメインを通して臨床的利益があることが示された。
by otowelt
| 2019-07-12 00:54
| びまん性肺疾患