この20年で受動喫煙はどうなったか?

この20年で受動喫煙はどうなったか?_e0156318_23175684.jpg 世界的にはやはり減っているようです。

Pelkonen MK, et al.
The relation of environmental tobacco smoke (ETS) to chronic bronchitis and mortality over two decades.
Respir Med. 2019 Jun 10;154:34-39.


背景:
 我々の目的は、受動喫煙(ETS)に曝露された人が、フィンランドにおいて1992年から2012年の間にどのように有病率が変化したかを記述することである。われわれは、ETSと慢性気管支炎の関連性、疾患特異的死亡および総脂肪について調べた。

方法:
 1992年~2012年の間に、25~74歳の38494人が国内FINRISK研究に登録された。各サーベイにおいてETS曝露に対する標準化質問票、慢性気管支炎症状、喫煙嗜好、その他リスク因子、研究施設における臨床測定データが得られた。死亡データは、国内死因登録データから得た。

結果:
 2012年では、5%の患者がETSに曝露され、1992年の25%と比べると少なかった。1992年と比較した2012年のETS曝露の補正オッズ比は0.27だった(p<0.001)。ETS曝露は、女性のほうがより多く、また喫煙者のほうが非喫煙者よりも多かった。ETS曝露は、慢性気管支炎と関連しており(オッズ比率1.63、95%信頼区間1.49-1.78)、職場(オッズ比1.36)と自宅(オッズ比1.69)でも認められた。ETS曝露者は、総死亡リスク(ハザード比1.15、95%信頼区間1.05-1.26)、心血管系死亡リスク(ハザード比1.26、95%信頼区間1.07-1.47)が有意に高かった。しかしながら、喫煙歴で層別化すると、ETSは喫煙者においてのみ総死亡リスクと関連していた(ハザード比1.31、95%信頼区間1.15-1.48)。
この20年で受動喫煙はどうなったか?_e0156318_9264821.png
(文献より引用:累積生存率)

結論:
 研究期間を通じてETS曝露者の比率は減少したが、ETS曝露は慢性気管支炎と関連しており、総死亡および心血管系死亡リスクを上昇させた。



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by otowelt | 2019-07-16 00:59 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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