世界的なLTBI有病率はどのくらいか?

世界的なLTBI有病率はどのくらいか?_e0156318_1302985.jpg 4~5人に1人というところですね。

 メディカルトリビューンで詳しく解説しています。

「世界で4人に1人が結核菌に感染」(URL:https://medical-tribune.co.jp/rensai/2019/0716520754/

Cohen A, et al.
The global prevalence of latent tuberculosis: a systematic review and meta-analysis.
Eur Respir J. 2019 Jun 20. pii: 1900655. doi: 10.1183/13993003.00655-2019.


背景:
 1999年、WHOは世界人口の少なくとも3分の1が潜在性結核感染症(LTBI)に罹患していると推定し、近年それは4分の1にアップデートされた。しかしながら、これはまだツベルクリン反応(TST)調査と組み合わせているため議論の余地がある。TSTよりも高い特異度を有するインターフェロンγ遊離試験(IGRA)は、その後広く実施されてきたが、世界的なLTBI有病率を推定するためには用いられていない。

方法:
 われわれは、2005年~2018年に出版された研究から、IGRAおよびTSTの両データを有するものを用いて、LTBI有病率を推定するべくシステマティックレビューおよびメタアナリシスをおこなった。地域および世界的なLTBI有病率が算出された。結核の低蔓延国、中蔓延国、高蔓延国によって層別化し、ランダム効果モデルを用いて各地域の統合推定値が算出された。

結果:
 3280の研究がスクリーニングされ、36ヶ国から88研究が組み入れられた。そのうち、41がIGRA(67167人)、67がTST(28万4644人)の研究だった。世界的なLTBI有病率は、IGRAに基づくと24.8% (95%信頼区間 19.7–30.0%)、TST(10mmをカットオフ値に設定)に基づくと21.2% (95%信頼区間17.9–24.4%)だった。有病率の推定値は、WHOの発生率とよく相関していた(Rs = 0.70、p <0.001)。

結論:
 IGRAおよびTSTの両サーベイを用いたLTBIの世界的有病率を調べた初めての研究において、世界人口の4分の1が結核菌に感染していることが分かった。両試験は、不完全ではあるものの、予防治療に適格な個人を同定する上で使用されるため、関連性があると考えてよいだろう。水面下で活動性結核を増やす原因となっている、潜在的な結核感染患者集団をターゲットにするなお一層の努力強化が必要である。




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by otowelt | 2019-07-22 00:50 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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