気道可逆性検査はCOPDと喘息の鑑別には役に立たない?
2019年 07月 23日
Christer Janson, et al.
Bronchodilator reversibility in asthma and COPD: Findings from three large population studies
European Respiratory Journal 2019; DOI: 10.1183/13993003.00561-2019
背景:
気道可逆性(BDR)試験は、閉塞性気道疾患の診断法として用いられている。この研究の目的は、喘息およびCOPDの被験者においてBDRを測定する異なる方法を比較すること、またBDRが症状負担やフェノタイプ特性にどの程度関連しているかを調べることである。
方法:
3つの大規模国際集団研究において、16歳以上の35,628人にサルブタモール200μg吸入前および15分後に1秒量(FEV1)および努力性肺活量(FVC)が測定された。被験者は3群に分類された:現在の喘息(2833人)、COPD(1146人)、気道疾患なし(31,649人)。呼気フロー(FEV1上昇)に関しては3基準、肺容量(FVC上昇)に関しても3基準を用いて定義した。
結果:
FEV1が12%以上かつ200mL改善した気道可逆性がある頻度は、喘息で17.3%、COPDで18.4%だった。一方で気道疾患のない被験者では5.1%だった。喘息では気道可逆性がwheezes(オッズ比1.36、95%信頼区間1.04-1.79)、アトピー(オッズ比1.36、95%信頼区間1.04-1.79)と関連していた。一方、COPDにおいてFeNOが上昇している場合、気管支拡張薬投与前のFEV1で補正しても、呼気フローないし肺容量関連の気道可逆性のいずれもが症状の悪化、増悪、健康ステータスと関連していなかった。
結論:
喘息と同じようにCOPDの被験者においても、少なくとも気道可逆性はよくみらえる現象である。これはすなわち、集団ベース研究において喘息とCOPDを鑑別する上で気道可逆性の測定に限界があることを示唆する。しかしながら、喘息においては気道可逆性はフェノタイプマーカーになるかもしれない。
by otowelt
| 2019-07-23 00:05
| 気管支喘息・COPD