筋炎関連ILDに対するアザチオプリンおよびミコフェノール酸モフェチル

筋炎関連ILDに対するアザチオプリンおよびミコフェノール酸モフェチル_e0156318_93123.png 膠原病関連ILDの研究がさかんになってきました、最近。

J.A. Huapaya, et al.
Long-term treatment with azathioprine and mycophenolate mofetil for myositis-related interstitial lung disease
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.05.023


背景:
 間質性肺疾患(ILD)に対するアザチオプリン(AZA)およびミコフェノール酸モフェチル(MMF)の有効性が報告されているが、それは主に膠原病関連間質性肺疾患(CTD-ILD)においてである。この研究の目的は、肺機能検査に対するAZAおよびMMFの効果と筋炎関連ILD(M-ILD)におけるプレドニゾン用量への影響を調べることである。

方法:
 ジョンズ・ホプキンス病院におけるM-ILDの後ろ向き研究で、AZAあるいはMMF、その他ステロイド減薬因子を用いている患者を組み入れた。線形混合効果モデルで性別、年齢、抗ARS抗体、喫煙歴を補正し、%努力性肺活量(FVC%)、%拡散能(DLCO%)、プレドニゾン用量を比較した。

結果:
 66人のM-ILD患者がAZAで治療され、44人がMMFで治療された。非喫煙者はAZA群で有意に多かった(p=0.03)。AZA群の53%、MMF群の15.9%が抗Jo-1抗体陽性だった(p<0.0001)。治療開始時、平均FVC%およびDLCO%変化はAZAのほうがMMFよりも有意に低かった。両群ともに、2~5年におよびFVC%は改善しプレドニゾン用量は減少した。しかしながら、DLCO%は、AZA群のみが改善した。補正モデルでは、治療後FVC%もDLCO%も有意な差は観察されなかった(それぞれ平均差1.9%、-8.2%)。しかし、AZA群では36ヶ月時点でプレドニゾン用量が6.6mg減った。
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(%努力性肺活量:文献より引用)
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(%DLCO:文献より引用)

 有害イベントはMMFよりAZAのほうが頻度が高かった(33.3% vs 13.6%, p=0.04)。トランスアミナーゼ上昇はAZA群で15.2%、MMF群で2.3%だった。

結論:
 M-ILDにおいて、AZA治療はFVC%改善, DLCO%改善, プレドニゾン用量減少と関連していた。MMFで治療された患者は、FVC%およびプレドニゾン用量が改善した。36ヶ月後、AZAで治療された患者はMMFで治療された患者よりもプレドニゾン用量が少なかった。



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by otowelt | 2019-07-25 00:17 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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