軽度間質性肺炎を合併した非小細胞肺癌患者に対するニボルマブの有効性と安全性

軽度間質性肺炎を合併した非小細胞肺癌患者に対するニボルマブの有効性と安全性_e0156318_1622135.png 小規模ですが、貴重な報告だと思います。

Fujimoto D, et al.
Nivolumab for advanced non-small cell lung cancer patients with mild idiopathic interstitial pneumonia: A multicenter, open-label single-arm phase II trial
Lung Cancer. 2019 Jun 3. pii: S0169-5002(19)30494-5.


目的:
 非小細胞肺癌(NSCLC)に対するニボルマブの有効性が示されてきたが、ニボルマブに関連した薬剤性肺障害は比較的多く、致命的になりうる有害事象である。特発性間質性肺炎(IIP)を合併した患者は薬剤性肺障害を合併するリスクが高く、一般的に当該臨床試験の対象からは除外される。さらに加えて、現在にいたるまで、IIPを合併した既治療NSCLCに対する多施設共同前向き臨床試験は実施されていない。このアンメットニーズを解決するべく、軽度IIPを合併したNSCLC患者に対するニボルマブの有効性と安全性を評価するための多施設共同オープンラベルシングルアーム第II相試験を立案した。

対象と方法:
 既治療、手術不能(病期IIIあるいはIV)、軽度IIPを合併したNSCLC患者を対象とした。ECOG PS0-1、20歳以上を対象とした。
 軽度のIIPとは、予測肺活量が80%以上で、胸部HRCTにおいてpossible UIPパターン、もしくはinconsistent with UIPパターンが観察されるものとした。プライマリエンドポイントは6ヶ月無増悪生存(PFS)割合で、セカンダリエンドポイントは当該治療による安全性とした。

結果:
 18人の患者が登録された(男性17人、女性1人、年齢中央値71.5歳)。72%の患者が病期IVだった。予測肺活量中央値は92.2%だった。腺癌が12人(67%)、扁平上皮癌が4人(22%)だった。12人(67%)が二次治療だった。PD-L1発現が50%以上だったのは3人(17%)で、50%未満だったのは9人(50%)だった。
 6ヶ月PFS割合は56%で、奏効割合は39%、病勢コントロール割合は72%だった。2人が完全寛解だった。
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(PFS:文献より引用)

 治療関連死はなかった。薬剤性のGrade 3/4の非血液有害事象が1件(Grade 3末梢神経障害)があった。2人の患者がGrade 2の薬剤性肺障害を起こしたが、ステロイド治療で改善した。

結論:
 軽度IIPを合併したNSCLC患者においても、ニボルマブは有効な治療となる。



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by otowelt | 2019-08-07 00:20 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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