
Ghosh A, et al.
Chronic E-Cigarette Use Increases Neutrophil Elastase and Matrix Metalloprotease Levels in the Lung.
Am J Respir Crit Care Med. 2019 Aug 7. doi: 10.1164/rccm.201903-0615OC.
背景:
タンパク質分解は、肺の自然免疫系の重要な側面である。 好中球エラスターゼおよびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を含むプロテアーゼは、標的タンパク質を切断することで、細胞シグナル伝達、炎症、組織リモデリングおよび白血球の動員を調節する。 過剰なタンパク質分解が起こり、気管支拡張症や気腫の原因となる。しかしながら、タンパク質分解に対する電子たばこの効果は不明である。
目的:
肺に対する電子たばこの影響のバイオマーカーとして、プロテアーゼレベルを用いた。
方法:
健康な非喫煙者、喫煙者、電子たばこ使用者に対して気管支鏡検査をおこない、気管支肺胞洗浄(BAL)液中のプロテアーゼレベルを決定した。また並行して、ヒトの血中好中球およびBAL由来マクロファージの分泌プロテアーゼに対する電子たばこの影響を調べた。 また、誘発喀痰とBALのニコチン濃度も計測した。
結果:
好中球エラスターゼ、MMP-2、MMP-9の活性/タンパク質レベルは、非喫煙者と比較して電子たばこ使用者と喫煙者の両群のBALで上昇した。対照的に、アンチプロテアーゼのレベルは変わらなかった。また、好中球およびマクロファージのニコチンへの曝露によって、プロテアーゼ放出が用量依存的に増加されることがわかった。電子たばこによって、測定可能なニコチンがBALで検出された。これは免疫細胞でみられるプロテアーゼ放出のEC50に相当した。
結論:
電子たばこによって肺免疫細胞からニコチン依存性プロテアーゼの放出が誘導される。ゆえに、慢性的に電子たばこを吸うことで、肺でののタンパク質分解が増加し、慢性肺疾患を発症する危険性があり、プロテアーゼとアンチプロテアーゼの均衡が崩れる。これらのデータは、電子たばこを吸うことは通常タバコを喫煙するより安全とは言えないことを示している。
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