胸腔内感染症のシステマティックレビュー
2019年 08月 30日

Tamsin N. Cargill, et al.
A systematic review of comorbidities and outcomes of adult patients with pleural infection
European Respiratory Journal 2019; DOI: 10.1183/13993003.00541-2019
背景:
胸腔内感染症は、死亡の重要な原因の1つである。この研究は、胸腔内感染症患者の併存症や臨床アウトカムの世界的なパターンを調べることを目的とした。
方法:
2000年から2017年までの、成人胸腔内感染症患者を電子データベースから登録した。結核性、真菌性、肺手術後感染症の症例は除外された。2人のレビュアーが独自に抽出をこころみた。
結果:
211研究が適格基準を満たした。134文献(22万7898人、平均年齢52.8歳)が併存症やアウトカムデータを有していた。ほとんどの研究が後ろ向き観察研究(104研究、78%)であり、東アジアが多かった(33研究、24%)。続いて北米が多かった(27研究、20%)。5研究(5万756人)が併存症について報告していた。併存症を有する頻度は72%(IQR58-83%)で、呼吸器疾患(20%、IQR16-32%)、心疾患(19%、IQR15-27%)が多かった。


125研究(19万2298人)がアウトカムデータを有していた。入院期間中央値は19日(IQR 13-27日)で、院内あるいは30日死亡率の中央値は4%(IQR1-11%)だった。高収入地域(100研究、74%)の患者は、高齢(平均56.5歳 vvs 42.5歳, p<0.0001)の人が多かったが、併存症や入院アウトカムについては有意差はなかった。
結論:
胸腔内感染症の患者は、併存症頻度が高く、入院期間が長い。ほとんどの報告は、高収入地域における研究結果によるものだった。低収入地域におけるデータを調べることで、地域傾向や適切なリソース提供についての情報が得られるだろう。
■「呼吸器内科医」はm3を応援しています!新規登録で3,000円相当ポイント進呈!

by otowelt
| 2019-08-30 00:39
| 感染症全般