PRAISE試験:IPFに対するパムレブルマブ
2019年 10月 21日
IPFに対して、現在最も期待されている薬剤です。
Richeldi L, et al.
Pamrevlumab, an anti-connective tissue growth factor therapy, for idiopathic pulmonary fibrosis (PRAISE): a phase 2, randomised, double-blind, placebo-controlled trial.
Lancet Respir Med. 2019 Sep 27. pii: S2213-2600(19)30262-0. doi: 10.1016/S2213-2600(19)30262-0.
背景:
結合組織増殖因子(CTGF)は、線維化にかかわる血管内皮細胞から分泌されるタンパクである。この研究は、CTGFに対する遺伝子組み換えヒト化モノクローナル抗体であるパムレブルマブ(FG-3019)のIPFに対する安全性、忍容性、効果を調べたものである。目的は、パムレブルマブIPFの進行を遅らせる・止める・逆行させることができるかどうかを調べることである。
方法:
この第2相ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験(PRAISE試験)は、7ヶ国(オーストラリア、ブルガリア、カナダ、インド、ニュージーランド、南アフリカ、アメリカ)の39施設で実施された。予測努力性肺活量(FVC)が55%以上のIPF患者を、ランダムに1:1の割合で、パムレブルマブ30mg/kgあるいはプラセボを3週間ごと48週間(合計16回注射)のいずれかの群に割り付けた。プライマリ効果アウトカムは、48週時点での予測FVCの変化(%)とした。48週時点での病勢進行(予測FVCがベースラインから10%以上減少あるいは死亡)がセカンダリ効果アウトカムに設定された。少なくとも1回の注射を受けたパムレブルマブ群の全患者が安全性解析に組み込まれた。プラセボ群の2人の患者は、登録エラーのため効果解析のITT集団から除外された。
結果:
2013年8月17日~2017年7月21日に、103人の患者がランダム化された(50人:パムレブルマブ群、53人:プラセボ群)。パムレブルマブは、48週時点で予測FVC減少をプラセボより60.3%減らした(ベースラインからの平均変化率:パムレブルマブ群-2.9%、プラセボ群-7.2%、差4.3%[95%信頼区間0.4-8.3%]、p=0.033)。 (文献より引用)
48週時点で病勢進行がみられた患者の比率は、パムレブルマブ群の方が低かった(10.0% vs 31.4%、p=0.013)。パムレブルマブは十分な忍容性があり、プラセボと同等の安全性だった。治療による重篤な有害事象は、パムレブルマブ群12人(24%)、プラセボ群8人(15%)だった。前者3人、後者7人が治療中断となった。パムレブルマブ群で3人(6%)、プラセボ群で6人(11%)が死亡したが、治療に関連したと思われる患者はいなかった。
結論:
パムレブルマブはIPFの進行を遅らせ、十分な忍容性がある。現在第3相試験がおこなわれており、パムレブルマブはIPFの治療において安全性の高い効果的な新薬となるだろう。
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Richeldi L, et al.
Pamrevlumab, an anti-connective tissue growth factor therapy, for idiopathic pulmonary fibrosis (PRAISE): a phase 2, randomised, double-blind, placebo-controlled trial.
Lancet Respir Med. 2019 Sep 27. pii: S2213-2600(19)30262-0. doi: 10.1016/S2213-2600(19)30262-0.
背景:
結合組織増殖因子(CTGF)は、線維化にかかわる血管内皮細胞から分泌されるタンパクである。この研究は、CTGFに対する遺伝子組み換えヒト化モノクローナル抗体であるパムレブルマブ(FG-3019)のIPFに対する安全性、忍容性、効果を調べたものである。目的は、パムレブルマブIPFの進行を遅らせる・止める・逆行させることができるかどうかを調べることである。
方法:
この第2相ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験(PRAISE試験)は、7ヶ国(オーストラリア、ブルガリア、カナダ、インド、ニュージーランド、南アフリカ、アメリカ)の39施設で実施された。予測努力性肺活量(FVC)が55%以上のIPF患者を、ランダムに1:1の割合で、パムレブルマブ30mg/kgあるいはプラセボを3週間ごと48週間(合計16回注射)のいずれかの群に割り付けた。プライマリ効果アウトカムは、48週時点での予測FVCの変化(%)とした。48週時点での病勢進行(予測FVCがベースラインから10%以上減少あるいは死亡)がセカンダリ効果アウトカムに設定された。少なくとも1回の注射を受けたパムレブルマブ群の全患者が安全性解析に組み込まれた。プラセボ群の2人の患者は、登録エラーのため効果解析のITT集団から除外された。
結果:
2013年8月17日~2017年7月21日に、103人の患者がランダム化された(50人:パムレブルマブ群、53人:プラセボ群)。パムレブルマブは、48週時点で予測FVC減少をプラセボより60.3%減らした(ベースラインからの平均変化率:パムレブルマブ群-2.9%、プラセボ群-7.2%、差4.3%[95%信頼区間0.4-8.3%]、p=0.033)。
48週時点で病勢進行がみられた患者の比率は、パムレブルマブ群の方が低かった(10.0% vs 31.4%、p=0.013)。パムレブルマブは十分な忍容性があり、プラセボと同等の安全性だった。治療による重篤な有害事象は、パムレブルマブ群12人(24%)、プラセボ群8人(15%)だった。前者3人、後者7人が治療中断となった。パムレブルマブ群で3人(6%)、プラセボ群で6人(11%)が死亡したが、治療に関連したと思われる患者はいなかった。
結論:
パムレブルマブはIPFの進行を遅らせ、十分な忍容性がある。現在第3相試験がおこなわれており、パムレブルマブはIPFの治療において安全性の高い効果的な新薬となるだろう。
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by otowelt
| 2019-10-21 00:43
| びまん性肺疾患