メタアナリシス:胸膜クライオバイオプイシーの診断精度

メタアナリシス:胸膜クライオバイオプイシーの診断精度_e0156318_16292292.jpg 肺野のTBLBと違って、胸腔鏡でごっそり取れやすいので、敢えてクライオにしなくても・・・という結論です。びまん性肺疾患の分野では1検体あたりの大きさが問われますが、胸膜疾患ではそこまで配慮しなくてもよさそうです。

Shafiq M, et al.
Pleural Cryobiopsy - A Systematic Review and Meta-Analysis.
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.09.023


背景:
 外科的あるいは内科的胸腔鏡下胸膜生検は、現在の胸膜生検のゴールドスタンダードであり、高い診断率を誇るが完璧とは言えない。クライオバイオプシーは、組織検体量が多く、深達度が深く観察でき、組織の挫滅アーティファクトが減少できる。しかしながら、その診断能は不透明であり、安全面についても懸念が残る。われわれは、システマティックレビューとメタアナリシスをおこなった。

方法:
 われわれは、胸膜生検のパフォーマンスを評価した研究をMEDLINE, EMBASE, Google Scholarから抽出し、QUADAS-2を用いて質を評価した。逆分散重み付けにより、診断能のメタアナリアシスをおこなった。検体の特徴や処置に関連した合併症についてもレビューした。

結果:
 7つの観察研究から586の胸膜生検が登録された(クライオバイオプシー311検体、胸腔鏡下鉗子生検275検体)。1つ以外のすべての研究が、semi-rigid胸腔鏡を用いていた。メタナアナリシスでは、クライオバイオプシーの診断能は96.5%、胸腔鏡下鉗子生検では93.1%だった(オッズ比1.61 、95%信頼区間0.71–3.66、I2=16%)。中等症から重症の出血例はクライオバイオプシ―群で観察されなかった。funnel plotでは出版バイアスは有意でなかった。
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(診断精度:文献より引用)

結論:
 均一な観察研究データに基づいた解析では、胸膜クライオバイオプシーは安全だが、胸腔鏡下鉗子生検と比較して診断能を上昇させるものではない。適切な検出力による多施設共同ランダム化比較試験が望まれる。







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by otowelt | 2019-11-19 00:16 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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