徐放性モルヒネは慢性の息切れに無効

e0156318_1110586.jpg なかなかインパクトの大きな臨床試験です。
 呼吸不全を合併して酸素療法が導入されている安定期COPDという集団を想定したとき、モルヒネの定期使用は医学的意義がないという結果になりました。

David Currow, et al.
Regular, sustained-release morphine for chronic breathlessness: a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled trial
Thorax, http://dx.doi.org/10.1136/thoraxjnl-2019-213681


背景:
 モルヒネが慢性の息切れを軽減するかどうか、大規模なランダム化比較試験では示されてない。これは、定期的な低用量徐放性モルヒネ製剤の効果と安全性をみた、初めての大規模並行群間試験である。

方法:
 多施設(オーストラリアにおける14の外来・入院・緩和ケアサービス)において、並行群間二重盲検ランダム化比較試験を実施した。慢性の息切れ(mMRC≧2以上)を有する成人を、徐放性モルヒネ製剤20mg/日+緩下剤(介入群)あるいはプラセボ+プラセボ緩下剤(コントロール群)のいずれかに7日間割り付けた。両群ともに、必要時2.5mg6回まで短時間作用性モルヒネ(24時間で15mgまで)を許可した。
 慢性の息切れについては、少なくとも2回適切な基礎疾患マネジメントをおこなったことを条件とした。
 プライマリエンドポイントは、ベースラインからの息切れの変化(VAS 0-100mm、日誌により1日2回記録)とした。セカンダリエンドポイントは、息切れの最悪時・最良時・平均、現在の息切れの不快感、疲労、QOLなどとした。

結果:
 ITT解析に組み込まれたのは、284人で、モルヒネ介入群145人、プラセボ群139人だった。平均年齢はモルヒネ介入群74.0±9.6歳、プラセボ群74.5±9.1歳だった。ベースラインのmMRCは1がそれぞれ18人(14.1%)、12人(10.3%)、2が22人(17.2%)、25人(21.6%)、3が33人(25.8%) 、33人(28.4%) 、4が55人(43.0%)、46人(39.7%)だった。平均SpO2は、それぞれ92.60±4.17%、92.96±4.46%だった。基礎疾患は、それぞれCOPDが82人(56.6%)、82人 (59.0%)と半数以上を占めた。次点は、悪性腫瘍である。登録時に在宅酸素療法を使っている患者は、それぞれ87人(60.0%)、75人(54.0%)だった。
 プライマリエンドポイントの息切れについて、両群で有意差はみられなかった(平均差−0.15 mm、95%信頼区間−4.59 to 4.29; p=0.95)。セカンダリエンドポイントにも差は観察されなかった。
 プラセボ群は、治療期間、経口モルヒネのレスキューをより多く使用していた(1日平均8.7回 vs 5.8回; p=0.001)。モルヒネ介入群は、プラセボ群より便秘、悪心・嘔吐が多かった。呼吸抑制や意識障害は1例もなかった。

結論:
 慢性の息切れに対する徐放性モルヒネ製剤の定期的内服は、プラセボと比較して息切れを軽減させない。プラセボ群のほうが、レスキューモルヒネの使用が多かった。






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by otowelt | 2019-10-17 00:41 | 呼吸器その他

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