IPFにおける血清S100A4値は疾患進行のバイオマーカーとして有用

IPFにおける血清S100A4値は疾患進行のバイオマーカーとして有用_e0156318_10574046.jpg 健康コントロールで検出されない、というのがミソかなと思います。
 S100Aはたくさんのアイソフォームがある二量体で、このうちA4は線維芽細胞で高率に発現していることが知られています。

Akiyama N, et al.
Clinical significance of serum S100 calcium-binding protein A4 in idiopathic pulmonary fibrosis.
Respirology. 2019 Oct 9. doi: 10.1111/resp.13707.


背景および目的:
 特発性肺線維症(IPF)、予後不良の進行性の間質性肺疾患である。IPFのアウトカムを予測する血清バイオマーカーは確立されていない。S100カルシウム結合タンパクA4(S100A4)は、線維芽細胞のマーカーと考えられているが、臨床応用についてはまだ不透明である。われわれは、IPF患者におけるS100A4の臨床的信頼性について評価した。

方法:
 95人IPFの連続患者と50人の健康コントロールにおいて、ELISAを用いて血清S100A4値を測定した。両群に年齢・性差はなかった。Kaplan-Meier法およびCoxハザード解析を用いて、免疫組織化学/免疫蛍光染色と疾患進行(肺機能の悪化あるいは死亡と定義)の関連を調べた。

結果:
 血清S100A4値は、健康コントロール患者全員で検出できず、IPF患者では26人(27.3%)に検出された。
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(ベースラインの血清S100A4値:文献より引用)

 IPF患者における肺組織の免疫染色では、線維芽細胞巣と線維化領域の周囲にS100A4発現細胞が多数観察された。カットオフ値を22.3ng/mLにすると(感度42.9%、特異度83.3%)、血清S100A4値が高いIPF患者は、低値の患者と比較して有意に予後不良であった(2年累積生存率41.7% vs 77.0%, P < 0.01)。
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(Kaplan-Meier曲線:文献より引用)

 多変量解析において、ベースラインの血清S100A4値が10ng/mL増えるごとに疾患進行リスク(オッズ比1.06、p=0.01)と死亡リスク(ハザード比1.18、p=0.03)が上昇した。

結論:
 血清S100A4は、IPFの疾患進行/死亡を良くするかもしれないバイオマーカーである。この知見は、IPFの治療戦略の手助けになるかもしれない。




by otowelt | 2019-12-09 00:27 | びまん性肺疾患

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