
まぁ、もう杏林製薬はラスビックを売り出すんですけど。
2016年にWHOはMDRTBに対する9ヶ月の「バングラデシュレジメン(shorter regimen)」を推奨しました。この論文では、ガチフロキサシンの効果が高いと報告されています。
バングラデシュ、カメルーン、ニジェールでオッズ比が1をまたいでいるのですが、3ヶ国をメタアナリシスしたような形で有意差がついています。
Duen AV, et al.
Gatifloxacin is superior to levofloxacin and moxifloxacin in shorter treatment regimens for multidrug-resistant TB
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 23, Number 9, 1 September 2019, pp. 965-971(7)
セッティング:
バングラディシュ、ニジェール、カメルーンにおける多剤耐性結核(MDRTB)に対する短期治療レジメン(STR)のいずれかを開始した患者からデータを収集した。
STR:カナマイシン+クロファジミン+キノロン+エタンブトール+イソニアジド+ピラジナミド+プロチオナミド(4-6ヶ月) → キノロン+クロファジミン+エタンブトール+ピラジナミド(5-8ヶ月)
目的:
STRとして併用されたガチフロキサシン、モキシフロキサシン、レボフロキサシンの微生物学的効果を類推すること。
結果:
1530人のうち、微生物学的な効果がみられたのは、96.7%だった。ガチフロキサシン(978人)、レボフロキサシン(290人)、モキシフロキサシン(262人)のSTRで層別化すると、ぞれぞれの効果は97.5%、95.5%、94.7%だった。ガチフロキサシンベースの治療と比較すると、レボフロキサシンベース、モキシフロキサシンベースのSTRは不良アウトアム(治療失敗あるいは再発)が2倍以上だった(オッズ比2.05、95%信頼区間1.09-3.90)。初期の耐性で補正すると、レボフロキサシンベースのレジメンおよびモキシフロキサシンベースのレジメンは、不良アウトカムのオッズ比がぞれぞれ4.5倍、8.4倍となった。ガチフロキサシンベースの治療を受けた859人のうち0人、レボフロキサシンベースの治療を受けた203人のうち2人、モキシフロキサシンベースの治療を受けた228人のうち4人がフルオロキノロン耐性を獲得した。
結論:
MDRTBに対するガチフロキサシンベースのSTRは、モキシフロキサシンベース・レボフロキサシンベースの治療より効果的であった。ガチフロキサシンは現在ほとんどのMDRTBプログラムにおいて利用されておらず、再考を要する。