肺非結核性抗酸菌症の予後予測因子解析
2019年 11月 11日
アブセッサスが治療されにくく、マシリエンセが治療されやすいというのも、何といいますか。それにしてもカンサシは検出されていないのですか。
Jhun BW, et al.
Prognostic factors associated with long-term mortality in 1445 patients with nontuberculous mycobacterial pulmonary disease: a 15-year follow-up study.
European Respiratory Journal 2019; DOI: 10.1183/13993003.00798-2019
背景:
肺非結核性抗酸菌症(NTM-PD)患者の予後予測因子については限られたデータしかない。われわれは、検出微生物や放射線学的形態などの個別の交絡因子によって補正したNTM-PD患者の長期死亡に関連した予後予測因子を検証した。
方法:
1997年7月から2013年12月までに、1445人の未治療NTM-PD患者が登録された。検出微生物は、Mycobacterium avium (n=655), M. intracellulare (n=487), M. abscessus (n=129), M. massiliense (n=174)だった。患者背景、放射線学的所見、疫学データを補正し多変量Coxモデルを用いて、NTM-PDの死亡に関連する因子を解析した。
結果:
1445人の追跡期間中央値は77.6ヶ月 (IQR 55.3–112.4ヶ月)で、893人(62%)が診断後中央値6.1ヶ月(IQR1.5-21.7ヶ月)で抗菌薬治療を開始していた。残りの552人(38%)は治療を受けなかった。
M. intracellulare (70%, 342/487)あるいはM. massiliense (69%, 120/174)は、M. avium (55%, 361/655) 、M. abscessus (54%,
70/129) (p<0.001)よりも治療を受けやすかった。
NTM-PD患者の5年累積死亡率は12.4%、10年累積死亡率は24.0%、15年累積死亡率は36.4%だった。
多変量解析では以下の項目が死亡と有意に関連していた。すなわち、高齢、男性、低BMI、慢性肺アスペルギルス症合併、肺・肺外悪性腫瘍、慢性心疾患・慢性肝疾患、赤沈高値。
検出微生物も死亡と有意に関連していた。M. intracellulare (補正ハザード比1.40; 95%信頼区間1.03–1.91)、M. abscessus (補正ハザード比2.19; 95%信頼区間1.36–3.51、M. massiliense (補正ハザード比0.99, 95%信頼区間0.61–1.64)だった(いずれもM. aviumと比較した場合)。 (菌種ごとの生存率:文献より引用)
空洞・結節気管支拡張型の場合、そうでない患者よりも有意に死亡リスクが高かった(補正ハザード比1.70、95%信頼区間1.12-2.59)。線維空洞型の場合についても、同様だった(補正ハザード比2.12、95%信頼区間1.57-3.08)。 (画像所見ごとの生存率:文献より引用)
結論:
NTMの菌種、空洞性疾患、ある種の患者背景は、NTM-PD患者の長期死亡と有意に関連していた。
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Jhun BW, et al.
Prognostic factors associated with long-term mortality in 1445 patients with nontuberculous mycobacterial pulmonary disease: a 15-year follow-up study.
European Respiratory Journal 2019; DOI: 10.1183/13993003.00798-2019
背景:
肺非結核性抗酸菌症(NTM-PD)患者の予後予測因子については限られたデータしかない。われわれは、検出微生物や放射線学的形態などの個別の交絡因子によって補正したNTM-PD患者の長期死亡に関連した予後予測因子を検証した。
方法:
1997年7月から2013年12月までに、1445人の未治療NTM-PD患者が登録された。検出微生物は、Mycobacterium avium (n=655), M. intracellulare (n=487), M. abscessus (n=129), M. massiliense (n=174)だった。患者背景、放射線学的所見、疫学データを補正し多変量Coxモデルを用いて、NTM-PDの死亡に関連する因子を解析した。
結果:
1445人の追跡期間中央値は77.6ヶ月 (IQR 55.3–112.4ヶ月)で、893人(62%)が診断後中央値6.1ヶ月(IQR1.5-21.7ヶ月)で抗菌薬治療を開始していた。残りの552人(38%)は治療を受けなかった。
M. intracellulare (70%, 342/487)あるいはM. massiliense (69%, 120/174)は、M. avium (55%, 361/655) 、M. abscessus (54%,
70/129) (p<0.001)よりも治療を受けやすかった。
NTM-PD患者の5年累積死亡率は12.4%、10年累積死亡率は24.0%、15年累積死亡率は36.4%だった。
多変量解析では以下の項目が死亡と有意に関連していた。すなわち、高齢、男性、低BMI、慢性肺アスペルギルス症合併、肺・肺外悪性腫瘍、慢性心疾患・慢性肝疾患、赤沈高値。
検出微生物も死亡と有意に関連していた。M. intracellulare (補正ハザード比1.40; 95%信頼区間1.03–1.91)、M. abscessus (補正ハザード比2.19; 95%信頼区間1.36–3.51、M. massiliense (補正ハザード比0.99, 95%信頼区間0.61–1.64)だった(いずれもM. aviumと比較した場合)。
空洞・結節気管支拡張型の場合、そうでない患者よりも有意に死亡リスクが高かった(補正ハザード比1.70、95%信頼区間1.12-2.59)。線維空洞型の場合についても、同様だった(補正ハザード比2.12、95%信頼区間1.57-3.08)。
結論:
NTMの菌種、空洞性疾患、ある種の患者背景は、NTM-PD患者の長期死亡と有意に関連していた。
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by otowelt
| 2019-11-11 00:33
| 抗酸菌感染症