出生早期の抗菌薬曝露は、その後の肺機能に影響を与えるか?
2019年 11月 12日

Directed Acyclic Graph(DAG)モデルの図が分かりやすかったので紹介します。

Santos K, et al.
Early life exposure to oral antibiotics and lung function into early adulthood
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.10.004
背景:
出生早期の抗菌薬曝露が喘息発症に与える影響については議論が現在進行している一方で、こうした曝露が肺機能を障害する可能性があるかどうかについて、まだ十分に検討はされていない。さらに、どの種類の抗菌薬が大きな影響を与えるのか、また、抗酸化ストレス酵素であるグルタチオン S-トランスフェラーゼ (GST) スーパーファミリーの変異が大きなリスクになるかどうかについても検証した。
方法:
われわれは、出生から2年の間に抗菌薬を投与されたアレルギー家族歴がある小児を抽出した。スパイロメトリーは児が12~18歳のときにおこない、z-スコアで示した。GST-P、GST-M、GST-T遺伝子多型について調べられた。線形回帰モデルを用いて、潜在的交絡因子を補正し、その関連性を検証した。
結果:
抗菌薬曝露日数の増加や出生早期の抗菌薬曝露は、1秒量あるいは努力性肺活量のいずれにおいても有意な影響をおよぼさなかった。GST遺伝子多型(M1, P1, T1)が肺機能障害を上昇させるというエビデンスも示されなかった。
結論:
経口抗菌薬の曝露日数が増えたり、出生早期に曝露されることは、アレルギー家族歴のある小児において肺機能の減少と関連していなかった。小児における抗菌薬の不適切使用は最小限に抑える必要があるが、長期的な肺の健康に対する懸念はその論拠にはならない。
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by otowelt
| 2019-11-12 00:51
| 気管支喘息・COPD