喘息に対する経口ステロイドの実態(ドイツ)

喘息に対する経口ステロイドの実態(ドイツ)_e0156318_9473145.png 生物学的製剤はステロイド漸減を手助けしますが、生物学的製剤のほうがコストが高いというのがジレンマがあります。

Christian Taube, et al.
Prevalence of oral corticosteroid use in the German severe asthma population
ERJ Open Research 2019 5: 00092-2019; DOI: 10.1183/23120541.00092-2019


目的:
 重症喘息の有病率、併存疾患、特に重症喘息患者における経口ステロイド(OCS)療法の使用について調査した。

方法:
 2015年の公的健康保険の396万1429人のプールデータを解析した。重症喘息の有病率を調べ、OCSに関連した合併症について高用量ICS/LABA使用患者とOCS使用患者で比較した。

結果:
喘息に対する経口ステロイドの実態(ドイツ)_e0156318_17244214.png
(文献より引用)

 喘息の有病率は7.3%で、そのうち8.7%(全体の0.6%)が高用量ICS/LABAで治療されていた。そのうち、追加的OCSを投与されたのは33.6%で、1日あたり0.9~9.1mgと幅があった。17.3%が180日を超えて処方されていた。
 高用量ICS/LABAを用いている患者の80%以上が少なくとも1つの合併症を有していた。心疾患(67.5%)、代謝性/栄養疾患(51.4%)、精神疾患(36.0%)、筋骨格系/結合組織疾患(20.3%)、眼疾患(20.0%)が多かった。
 長期OCS治療により、かかる医療費の上昇が推定された。OCS治療を受けていない患者では1人あたり4266ユーロ/年であったのに対して、OCS治療を受けてると11253ユーロ/年かかった。

結論:
 高用量ICS/LABAを用いている重症喘息患者では、OCSは頻繁に使用されており、副作用や医療費の増加につながっている。





by otowelt | 2019-11-29 00:57 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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