リアルワールドにおけるピルフェニドンとニンテダニブの有効性

リアルワールドにおけるピルフェニドンとニンテダニブの有効性_e0156318_1033185.png イタリアからの報告です。disease behaviorをみてから使いましょうという意見と、UIPパターンをみたら軽症例でもすぐに使いましょうという意見の2つがあります。

Cerri S, et al.
Real-life comparison of pirfenidone and nintedanib in patients with idiopathic pulmonary fibrosis: A 24-month assessment.
Respir Med. 2019 Oct 18;159:105803.


背景:
 IPF患者に対するピルフェニドンとニンテダニブの使用について、リアルワールドのデータは不足している。

方法:
 われわれは、ピルフェニドン(78人)あるいはニンテダニブ(28人)を24ヶ月にわたって使用されたIPF患者をイタリア2施設から登録した。これら治療を拒否した36人をコントロール群に設定した。全患者は1~3ヶ月ごとの定期受診を完遂した。プライマリアウトカムとしてFVC、DLCO、セカンダリアウトカムとして副作用、服薬遵守、死亡が記録された。

結果:
 治療群と比較するとコントロール群では、%FVCおよびDLCOの低下が有意に大きかった(それぞれp = 0.0053、p = 0.037)。ピルフェニドン群とニンテダニブ群の間にはこれらに有意差はなかった。
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(%FVCの推移:文献より引用)

 薬剤内服の有無にかかわらず、進行が軽度である患者(GAPステージ1)と比較すると、GAPステージ2および3の患者は、有意にFVCとDLCOの減少が大きかった。
 薬剤の副作用は、ピルフェニドン群およびニンテダニブ群のいずれにおいても同等だった(それぞれ5%、7%)。死亡は3群とも同等だった。

結論:
 無治療と比較すると、24ヶ月におよぶピルフェニドン治療とニンテダニブ治療には、FVCおよびDLCOの減少を等しく抑制する効果がみられた。より進行したIPFの集団では、どの群も肺機能の減少が大きかった。





by otowelt | 2020-01-05 00:38 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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