
Zachary Boivin, et al.
Association of atypical antipsychotics and mortality for patients hospitalised with pneumonia
ERJ Open Research 2019 5: 00223-2018;
背景:
非定型抗精神病薬は、精神疾患や認知症のある患者に広く用いられている。肺炎で入院する患者にもよく用いられているが、安全性データは少ない。この研究の目的は、入院前の非定型抗精神病薬使用と肺炎患者の死亡増加との関連性を調べることである。
方法:
10年間、肺炎で入院した患者を調査する後ろ向きコホート研究を実施した。肺炎で入院した65歳以上の患者を組み入れた。プライマリ解析において、非定型抗精神病薬使用と非使用のあいだの交絡因子を補正するため、傾向スコアマッチを用いた。
結果:
102897人の患者のうち、5977人が非定型抗精神病薬を用いていた。
傾向スコアマッチ後、非定型抗精神病薬使用者5513人、非使用者5513人が登録された。登録患者の平均年齢は77.8±7.4歳で、98.3%が男性だった。90日以内にすべての原因による死亡は23717人(23.1%)に発生した。抗精神病薬の内訳は、クエチアピン2212人、リスペリドン2205人、オランザピン1375人が多かった。
非定型抗精神病薬の使用は、30日死亡(オッズ比1.20, 95%信頼区間1.11–1.31)、90日死亡(オッズ比1.19, 95%信頼区間1.09–1.30)のリスクを上昇させた。

結論:
肺炎で入院した65歳以上の患者において、非定型抗精神病薬の使用は死亡のオッズ比上昇と関連していることを示した。既存の精神疾患または心臓疾患の患者で特に顕著だった。これらの薬剤を使用する患者を注意深く監視し、高齢の成人患者での使用を最小限にするべきである。