CDIに対する静注メトロニダゾール+経口バンコマイシン
2019年 11月 15日

Ying Wang, et al.
Dose addition of intravenous metronidazole to oral vancomycin improve outcomes in Clostridioides difficile infection?
Clinical Infectious Diseases, ciz1115, https://doi.org/10.1093/cid/ciz1115
背景:
ガイドラインでは、劇症型Clostridioides difficile感染症(CDI)に対して、経口バンコマイシンに静注メトロニダゾールを加えることが推奨されている。これは、静注メトロニダゾールと経口バンコマイシンとバンコマイシン単独治療を比較した研究である。非劇症型および劇症型CDIにおける併用療法の使用頻度・有効性をアセスメントした。
方法:
2010年~2018年に実施された、2施設の後ろ向き研究である。成人の入院患者で下痢便においてC. difficile PCRが陽性となり、経口バンコマイシンを検査前後2日以内に開始された者を対象とした。同時期に静注メトロニダゾールを投与された患者を併用療法群とし、バンコマイシン単独療法群と比較した。プライマリアウトカムは、90日以内の死亡あるいは大腸切除とした。ロジスティック回帰モデルを用いて、CDI重症度とその他CDIアウトカム予測因子を調整した。セカンダリアウトカムとして、CDIの再発を設定した。
結果:
研究には2114人の患者が含まれた(併用療法群993人、単剤治療群1121人)。このうち、23%がプライマリアウトカムを満たした。併用療法群のほうがバイタルサイン異常や血液検査異常が多かった。加えて、併用療法群のほうが巨大結腸症に陥りやすく、ICUに入室しやすく、劇症型CDIであることが多かった(p<0.01)。併用療法群のほうがプライマリアウトカムを満たした頻度が高かった(28% vs 18%, p<0.01)。

非重症あるいは重症CDIと比較すると劇症型CDIは死亡リスク上昇と関連していた(χ2 p<.01)。
SHEA/IDSA疾患重症度およびその他CDIアウトカム予測因子で補正すると、併用療法とプライマリアウトカムの間に関連はなかった(補正オッズ比1.07、95%信頼区間0.79-1.45)。劇症型CDIの症例にしぼっても、この結果は同様だった(補正オッズ比1.17、95%信頼区間0.65-2.10)。また、併用療法とCDI再発の間にも関連はなかった。
結論:
非劇症型および劇症型CDIに対する静注メトロニダゾールと経口バンコマイシンの併用療法はよくおこなわれているが、バンコマイシン単独と比べてアウトカム改善と関連していなかった。
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by otowelt
| 2019-11-15 11:05
| 感染症全般