COPD患者に対する吸入ステロイドは肺癌発症を減少"させない"

COPD患者に対する吸入ステロイドは肺癌発症を減少\"させない\"_e0156318_1633480.jpg COPD患者さんに対するICSは肺癌を減らすという知見が普及していましたが、否定的な研究結果が出てきました。

参考記事:COPD患者に対する吸入ステロイドは肺癌リスクを減少

 まぁ、どっちみち臨床的実感はなかったのですが・・・。

Suissa S, et al.
Inhaled corticosteroid use and the incidence of lung cancer in COPD.
Eur Respir J. 2019 Nov 19. pii: 1901720. doi: 10.1183/13993003.01720-2019.


背景:
 吸入ステロイド(ICS)は肺癌の潜在的な化学予防効果があるとされている。複数のCOPD患者の観察研究では結果が一致しておらず、ICS使用による肺癌の減少あるいは効果はないという見解に分かれた。一部の研究に影響を与えているであろうバイアスを回避する手法により、この関連性を評価した。

方法:
 ケベック州ヘルスケアデータベースを用いて、2000年~2014年に、長時間作用性気管支拡張薬を新規に用いたCOPD患者コホートを同定し、2015年まで追跡し肺癌の発生をみた。初発症状バイアス(protopathic bias)を回避するために、コホート登録から1年遅らせる手法が用いられた。ICS開始後から1年の潜期を設定した。共変数を補正した時間依存性Cox回帰モデルを用いて、ICS曝露に関連した肺癌のハザード比を推定した。

結果:
 コホートには58177人が組み入れられ、ICS投与を受けたのは63%だった。平均追跡期間5年で肺癌が954人に発症した。非ICS曝露と比較したICS曝露による肺癌の補正ハザード比は0.94(95%信頼区間0.81-1.07)だった。4年を超えるICS曝露を受けていても、ハザード比は不変だった(0.86、95%信頼区間0.70-1.07)。平均ICS用量が多い場合(フルチカゾン相当量で>1000μg)のハザード比は1.50だった(95%信頼区間0.88-2.57)。
COPD患者に対する吸入ステロイドは肺癌発症を減少\"させない\"_e0156318_13433197.png
(文献より引用:ICSと肺癌)

結論:
 COPD患者において、ICSは肺癌の減少とは関連していなかった。観察研究における減少が起こった理由として、時間関連バイアスの影響と、喘息患者を組み入れてしまったことが挙げられる。
ランダム化試験を提案する場合、ある程度注意が必要である。



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by otowelt | 2019-12-12 00:47 | 気管支喘息・COPD

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