多剤耐性結核のLTBI治療はどうする?

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はじめに
 ここ最近、多剤耐性結核の接触者健診事例が増えてきました。その中にIGRA陽性例がちらほらあったので、一度勉強しようと思いました。


多剤耐性結核のLTBI治療
 感受性結核のLTBI治療は、基本的にINH単剤、RFP単剤、HR2剤のいずれかが推奨されていますが、多剤耐性結核のLTBI治療についてはエビデンスが少ないです。
 日本では「初発患者が多剤耐性結核菌の場合には,万が一発病した場合に可能な限り早く治療を開始できるように,3か月ごとの経過観察を行う」と推奨されています。
 WHOの「Latent tuberculosis infection ; Updated and consolidated guidelines for programmatic management」では具体的なレジメンは記載されていないものの、以下のような記載があります。
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 CDCのガイドラインでは、専門家意見としてPZA、EB、LVFX感受性の場合、免疫抑制のない者については経過観察もしくはPZA+EBまたはPZA+LVFX 6ヶ月以上、HIV陽性等免疫抑制のある者についてはPZA+EBまたはPZA+LVFX 12ヶ月以上の治療を推奨しています。ただ、ガイドラインは2000年から更新されていません。
 先日発刊されたl ATS/CDC/ERS/IDSAの多剤耐性結核のガイドラインでは、条件付き推奨として注意深い観察よりもLTBI治療を推奨しています。フルオロキノロンベースでの6~12ヶ月治療を推奨しています。それを反映したUpToDateでは、フルオロキノロン1剤+感受性薬剤1剤の計2剤の治療レジメンが紹介されています。アベロックス🄬は日本では当然適用できません。
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参考文献 
 臨床試験が少ないのですが、各ガイドラインが挙げている参考文献を2つ紹介します。

Bamrah S, et al.
Treatment for LTBI in contacts of MDR-TB patients, Federated States of Micronesia, 2009-2012.
Int J Tuberc Lung Dis. 2014 Aug;18(8):912-8.


 多剤耐性結核患者と接触した119人の前向き観察研究。レジメンはフルオロキノロンベースで以下の通り。
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 104人が上記レジメンの治療を受け、93人(89%)が治療を完遂。治療期間中多剤耐性結核を発病した人はいなかった。しかし、LTBI治療を受けなかった(拒否例・接触源患者不明例)うちの3人が多剤耐性結核を発病した。

Garcia-Prats AJ, et al.
Children exposed to multidrug-resistant tuberculosis at a home-based day care centre: a contact investigation.
Int J Tuberc Lung Dis. 2014 Nov;18(11):1292-8.


 HR+アミカシンに耐性の多剤耐性結核をみた南アフリカの後ろ向き研究。15歳未満の24人が6ヶ月の治療(オフロキサシン+EB+高用量INH)を受けたが、1年時のフォローアップで追跡可能だった21人は誰1人多剤耐性結核を発病していなかった。




by otowelt | 2019-11-30 00:27 | コントラバーシー

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