MERGE試験:軽症OSAに対するCPAP療法

MERGE試験:軽症OSAに対するCPAP療法_e0156318_12131855.png 国民の多くがCPAP療法をつける時代がくるのかもしれない・・・。
 なんちゃって。 

Alison J Wimms, et al.
Continuous positive airway pressure versus standard care for the treatment of people with mild obstructive sleep apnoea (MERGE): a multicentre, randomised controlled trial
Lancet Respiratory Medicine, https://doi.org/10.1016/S2213-2600(19)30402-3


背景:
 軽症の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療に対するエビデンスは限られており、疾患重症度の定義も様々である。MERGE試験では、軽症OSA患者に対するCPAP療法の臨床的効果を検証した。

方法:
 MERGE試験は、イギリスの11施設における18~80歳の軽症OSA(AHI5~15)患者を組み入れた多施設共同並行群間ランダム化比較試験である。患者は、CPAP療法+通常ケア(睡眠カウンセリング)あるいは通常ケア単独のいずれかに1:1の割合で割り付けられた。被験者と研究者は盲検化された。プライマリアウトカムは、ITT集団におけるSF-36(vitality)の変化とした。

結果:
 2016年11月28日から2019年2月12日までに、301人の患者が登録されランダム化された。233人がAASM2012基準で軽症OSAであり、ITT解析に組み込まれた。115人がCPAP療法群、118人が通常ケア群に割り付けられた。このうち、209人(90%)が試験を完遂した。ランダム化から3ヶ月後、SF-36(vitality)はCPAP療法群のほうが平均10.0点良好だった(95%信頼区間7.2–12.8; p<0.0001)(9.2点[95%信頼区間6.8 to 11.6] vs −0.8点 [95%信頼区間–3.2 to 1.5])。より保守的な推測をみると、LOCF解析では、3カ月後の同スコアはCPAP療法群のほうが平均7.5点良好だった(95%信頼区間5.3 to 9.6; p<0.0001)。重篤な副作用イベントは3件起こった(1件がCPAP療法群)。
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(文献より引用:SF-36[vitality]のスコア変化)

結論:
 軽症OSA患者に対する3ヶ月のCPAP療法により、QOLが改善した。





by otowelt | 2020-01-06 00:03 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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