クリスマスBMJ2019:新車を保有すると、体重が増加し運動量も減る

クリスマスBMJ2019:新車を保有すると、体重が増加し運動量も減る_e0156318_1016912.png そりゃそうだ、という結果。
 ちなみに、中国政府は大気汚染や渋滞が深刻になっているため、北京の新車販売は抽選制度になっています。当選率は1~2%とかなり低く、お金を持っていても車を所有していない人もいるようです。上海や深圳では競売制度になっていて、お金を出せば車を所有できます。

Michael L Anderson, et al.
Physical activity and weight following car ownership in Beijing, China: quasi-experimental cross sectional study
BMJ 2019; 367 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.l6491


目的:
 世界の都市部での身体活動性と体重に対して、自動車を所有することの影響を判断する。 

デザイン:
 疑似-実験的断面研究。

セッティング:
 2011年~2015年、中国北京。

参加者:
 2011年1月~2015年11月の間に車を購入するための抽選に参加した世帯のランダムサンプルから選ばれた18歳以上。

介入:
 許可証発行から6ヶ月以内に車両を購入する権利を認可。

アウトカム:
 交通機関の使用(毎週の地下鉄とバスの乗車回数)、身体活動(毎日のウォーキングまたは自転車)、体重(2016年初に1回測定)とした。

結果:
 937人が解析に組み込まれ、180人が新車を購入する認可を得た。抽選に当選した場合、91%の確率で追加の車両が購入された(95%信頼区間89%〜94%、P <0.001)。抽選から約5年後、当選者は非当選者と比べて、週ごとの交通機関利用を大幅に減らし(-2.9乗車、95%信頼区間-5.1~-0.7; P = 0.01)、ウォーキングや自転車が大幅に減った(-24.2分、95%信頼区間-40.3~-8.1); P = 0.003 )。当選者と非当選者では平均体重に変化はなかった。しかし、50歳以上では、当選者の体重は非当選者の体重と比べて有意に増加していた(10.3 kg、95%信頼区間0.5~20.2; P = 0.04)。
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(約5年の追跡結果:文献より引用)

結論:
 これらのデータは、急速に成長している世界的都市での車両保有が、身体活動の長期的な減少と重量の増加につながることを示している。発展途上国および中所得国での自動車の使用・保有の継続的増加は、身体的健康および肥満に悪影響を与える可能性がある。


by otowelt | 2019-12-19 08:20 | その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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