クリスマスBMJ2019:「静かに」という言葉を病院で避ける迷信
2019年 12月 19日

Charlotte R Brookfield, et al.
Q fever—the superstition of avoiding the word “quiet” as a coping mechanism: randomised controlled non-inferiority trial
BMJ 2019; 367 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.l6446

目的:
臨床現場で「静かに」という言葉を発すると、業務負担が増加するという迷信の妥当性を判断する。
デザイン:
前向きランダム化比較非劣性試験。
セッティング:
イギリスのランカシャーにある大規模教育病院の微生物学部門。
参加者:
医学微生物学チームの2人の職員が平日業務を行い、週末はオンコールチームのメンバーが勤務した。スタッフが「今日は静かな日になるだろうね」と発言する29日間と、どのような状況でも「静か」という言葉を差し控える32日間が割り当てられた。
介入:
ランダムに「今日は静かな日になるだろうね」と言う日(介入群)、または「静かな」という言葉を差し控える日(対照群)に割り当てられた。
アウトカム:
プライマリアウトカムは、全体的な仕事量の平均とした:臨床に関連する電話の数、臨床に重要な結果、臨床エピソード(24時間の間に医学微生物チームによって処理された検査結果)。異なる30の臨床エピソードを非劣性マージンとみなした。セカンダリアウトカムには、プライマリアウトカムの個々の要素を設定した。
結果:
仕事量は、合計61日間(2019年5月1日から6月30日まで)にわたって毎日測定された。介入日の144.9と比較して、平均139.0の仕事量が対照日に発生し、これは5.9の差(95%信頼区間-12.9〜24.7)だった。この上限は、指定された30というマージンよりも小さく、非劣性であることが分かった。非補正または補正の分析においても、平日または週末のサブグループを検討した場合においても、いずれの4要素においても介入による有意差は観察されなかった。

結論:
この調査結果は、「静かに」という発言が、臨床的業務に影響を与えるという長年の迷信を否定するものである。人手不足と仕事によるストレスが増加する時代、医師はスタッフの幸福と精神的健康を保護するための他の方法に目を向けるべきである。
by otowelt
| 2019-12-19 08:50
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