
Mercer RM, et al.
Clinically important associations of pleurodesis success in malignant pleural effusion: Analysis of the TIME1 data set.
Respirology. 2019 Dec 17. doi: 10.1111/resp.13755.
背景および目的:
胸膜癒着術は、報告された成功率が80%であり、悪性胸水の患者の治療に用いられる。より強い疼痛または炎症反応によって示されているように、炎症は胸膜癒着術の成功の鍵であると考えられている。悪性胸膜中皮腫の患者は、炎症反応が可能になる正常胸膜組織が欠如しているため、胸膜癒着術の成功率が低いと考えられている。
方法:
胸膜癒着術の成功と疼痛が主要アウトカム指標であるTIME1試験データセットを用いて、上述した仮定を検証することとした。胸膜癒着術の成功に関連して、疼痛スコア(VAS 100mmスケール)、胸膜炎症マーカーとしての全身性炎症パラメーター、および悪性腫瘍の種類を分析した。
結果:
合計285人の患者が登録され、胸膜癒着術の成功率は81.4%だった。胸膜癒着術が成功した群では、失敗した群よりもCRP上昇が大きかった(平均差19.2, 95%信頼区間6.2-32.0, P = 0.004)。しかし、白血球数の変化には有意差はなかった。CRPが30mg/Lをカットオフ値に設定した場合、成功した群の84.7%、失敗群の72%がこの基準を満たした(χ2=4.62, P = 0.032)。

疼痛スコアや鎮痛薬の必要性にも差はみられなかった。疼痛VASはベースライン中央値3.8mmだったものが、処置後24時間以内で23.4mm、24~48時間で14.4mmだった。
悪性胸膜中皮腫の患者では、胸膜癒着術の成功率が低かった(悪性胸膜中皮腫患者73.3% vs 非悪性胸膜中皮腫患者84.9%、χ2 = 5.1, P = 0.023)。
結論:
胸膜癒着術中のCRPの変化は胸膜癒着術の成功と関連していたが、疼痛レベルの高さは成功率とは関連がなかった。悪性胸膜中皮腫の患者の胸膜癒着術成功率は低かったが、それでも全身性炎症マーカーの上昇はみられた。