反復唾液嚥下テストはCOPD増悪予測に有用
2019年 12月 25日

RSSTの特性上、感度は高くなりませんが、特異度が96%と高いため、さっそく明日から使えそうです。
とても感銘を受けたので、連載のMedical Tribuneで来月この論文について詳しく取り上げたいと思います。
Yoshimatsu Y, et al.
Repetitive Saliva Swallowing Test Predicts COPD Exacerbation.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Dec 4;14:2777-2785.
背景:
COPD増悪リスクのフェノタイプを予測することは、きわめて重要である。嚥下障害は、これらフェノタイプの1つとして認識されつつある。嚥下障害およびCOPD増悪リスクの便利なスクリーニング方法が望まれている。反復唾液嚥下テスト(RSST)は、嚥下障害をスクリーニングするもっとも侵襲度の低い方法である。われわれは、後ろ向き研究においてRSST結果とCOPD増悪の間に正の相関があることを報告した(Clin Respir J. 2019;13:321–327)。これに基づき、われわれはRSSTがCOPD増悪予測能にすぐれているかどうか前向き研究で調べ、COPDにおける適切なカットオフ値を同定した。
方法:
Iizuka COPDコホートから、70人のCOPD患者が登録された(平均年齢72.8 ± 7.5歳)。喘息合併例は除外された。患者は以下の嚥下障害スクリーニングテストを受けた。The 10-item Eating Assessment Tool(EAT-10)、Fスケール問診票(Frequency Scale for the Symptoms of GERD[FSSG])、RSST、水嚥下テスト、簡易嚥下誘発テスト。1年後、COPD増悪があった群となかった群に分けて解析した。
結果:
過去1年で、27人が1回以上のCOPD増悪を起こしていた。また、追跡期間中では、28人が1回以上のCOPD増悪を起こし(E群)、42人は起こさなかった(非E群)。過去の増悪歴とRSSTの結果(カットオフ値:2回,3回,4回,5回のいずれにおいても)以外に、両群に有意差はなかった。RSSTにおける嚥下回数は、E群は非E群と比べて有意に低下していた。カットオフ値は5回がもっとも良好であった(感度42.9%、特異度96.4%、AUC0.775)。初回の増悪までの期間は、RSSTが5回を超える患者で有意に長かった。E群と非E群を鑑別するのに、過去1年の増悪歴よりもRSSTのほうがより信頼性が高かった(ハザード比はそれぞれ13.78、2.70)。
結論:
RSSTカットオフ値5回は、COPD増悪の強力な予測因子である。
by otowelt
| 2019-12-25 00:35
| 気管支喘息・COPD