COPDにおけるICS/LABAはどれが最良か?
2020年 01月 17日

Ting-Yu Chang, et al.
Comparative Safety and Effectiveness of Inhaled Corticosteroids and Long-Acting β2 Agonist Combinations in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.12.006
背景:
COPD患者では、吸入ステロイド(ICS)の薬剤間の肺炎リスク差は、特にベクロメタゾン含有の場合、議論の余地がある。この研究は、COPD患者におけるICS/長時間作用性β2刺激薬(LABA)併用のリスクとベネフィットのプロファイルを比較することである。
方法:
2009年~2015年において台湾の国民健康保険請求データを使用した後ろ向きコホート研究を実施し、新規にICS/LABAを使用したCOPD患者を含めた。傾向スコアマッチとCox回帰モデルを用いて、異なるICS/LABA使用による重症肺炎と急性増悪のハザード比を推定した。
結果:
42393人のICS/LABA新規使用者が同定され、フルチカゾンプロピオン酸エステル/サルメテロール(FLU/SAL)DPIが7182人、ブデソニド/ホルモテロール(BUD/FOR) DPIが9587人だった。BUD/FOR DPIおよびベクロメタゾン/ホルモテロール(BEC/FOR)の定用量噴霧(MDI)は、FLU/SALのDPI・MDIと比較して、重症肺炎(BUD/FOR ハザード比0.83 [95%信頼区間0.70-0.98], BEC/FOR ハザード比0.69 [95%信頼区間0.58-0.81]) 、重症増悪(BUD/FOR ハザード比0.88 [95%信頼区間0.78-0.99], BEC/FOR ハザード比0.90 [95%信頼区間0.84-0.96])のリスクが低かった。平均一日ICS用量で補正すると、BUD/FOR DPI使用者は重症肺炎のリスクが依然として低かった(18%)が、BEC/FOR MDI使用者では有意ではなかった。この結果は、事前に指定されたサブグループのほとんどにおいて、すべての感度分析で一貫していた。

FLU/SAL MDIの1日平均用量が500μgを超える高用量群では、重症肺炎のリスクが低用量群よりも66%高かった(補正ハザード比1.66、95%信頼区間1.03-2.70)。BEC/FORの1日平均用量が200-400μgの中用量群では、重症亜飛円のリスクが低用量群よりも38%高かった(補正ハザード比1.38、95%信頼区間1.08-1.81)。
結論:
この研究は、COPD患者におけるICS/LABAの組み合わせの安全性・有効性の結果に関する既存のエビデンスを補強するものであり、臨床的治療の決定に適用できるかもしれない。
by otowelt
| 2020-01-17 00:24
| 気管支喘息・COPD