COMPASS試験:NSCLCに対するベバシズマブ+ペメトレキセド維持療法はベバシズマブ維持療法よりPFSを延長
2020年 01月 03日
昨年のASCOで発表された既知の内容です。
Seto T, et al.
Randomized Phase III Study of Continuation Maintenance Bevacizumab With or Without Pemetrexed in Advanced Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer: COMPASS (WJOG5610L).
J Clin Oncol. 2019 Dec 27:JCO1901494. doi: 10.1200/JCO.19.01494.
目的:
非小細胞肺癌(NSCLC)患者は維持療法によって恩恵を受けてきた。COMPASS試験は、カルボプラチン+ペメトレキセド+ベバシズマブで導入した後、ベバシズマブにペメトレキセドを併用あるいは併用しない維持療法の効果と安全性を調べたものである。
方法:
治療歴がない病期IIIB/IVの非扁平上皮NSCLCの患者で、EGFR野生型、EGFR変異(Del19またはL858R)がないあるいはは不明のものを対象に行われた。導入療法としてカルボプラチン(AUC 6)+ペメトレキセド(500mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg)の治療を3週ごとに4サイクル行った。その後、1:1の割合でペメトレキセド+ベバシズマブあるいはベバシズマブのいずれかの維持療法を3週ごとに行う群にランダムに割り付けられた※。維持療法は病勢進行あるいは毒性中止まで3週ごとに投与された。プライマリエンドポイントはランダム化からの全生存期間(OS)とした。セカンダリエンドポイントとして、無増悪生存期間(PFS)、1次登録(導入療法時点の登録)からのOS・PFS、安全性を設定した。
※導入療法中に増悪していない患者を対象とした維持療法として、当初ベバシズマブ、ペメトレキセド、ベバシズマブ+ペメトレキセドの3群を比較だったがベバシズマブ群とベバシズマブ+ペメトレキセド群の2群に変更された。
結果:
2010年9月から2015年9月までに907人が登録された(1次登録)。治療を受けなかった患者や適格基準を満たさなかった患者を除外し、COMPASS試験の解析対象は856人となった。599人が2次登録しランダム化された。ベバシズマブ+ペメトレキセド群は298人、ベバシズマブ群は301人だった。
1次登録患者の年齢中央値は65歳で、全体のうち男性が73%を占め、病期IVが85%、EGFR野生型が90%だった。治療サイクル数の中央値はベバシズマブ+ペメトレキセド群が6サイクル、ベバシズマブ群が4サイクルだった。
OS中央値は、ベバシズマブ+ペメトレキセド群23.3ヶ月、ベバシズマブ群19.6ヶ月だった(ハザード比0.87、95%信頼区間0.73-1.05、片側層別化log-rank p=0.069)。PFS中央値は、ベバシズマブ+ペメトレキセド群5.7ヶ月、ベバシズマブ群4.0ヶ月だった(ハザード比0.67、95%信頼区間0.57-0.79、両側log-rank p<0.001)で、ベバシズマブ+ペメトレキセド群で有意に延長した。EGFR野生型のサブセット解析では、OSのハザード比は0.82(95%信頼区間0.68-0.99、片側非層別化log-rank p=0.020)だった。
安全性は過去の臨床試験と一致していた。グレード3以上の好中球数減少がベバシズマブ群の1%、ベバシズマブ+ペメトレキセド群の14%にみられ、高血圧はそれぞれ16.6%と11.7%だった。
後治療はベバシズマブ群90.8%、ベバシズマブ+ペメトレキセド群83.9%で適用された。最多レジメンはドセタキセルあるいはnab-パクリタキセルだった。
結論:
プライマリエンドポイントは未達成であったが、ベバシズマブ維持療法にペメトレキセドを追加することで、全体におけるPFSおよびEGFR野生型サブセットにおけるOSは延長した。
Seto T, et al.
Randomized Phase III Study of Continuation Maintenance Bevacizumab With or Without Pemetrexed in Advanced Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer: COMPASS (WJOG5610L).
J Clin Oncol. 2019 Dec 27:JCO1901494. doi: 10.1200/JCO.19.01494.
目的:
非小細胞肺癌(NSCLC)患者は維持療法によって恩恵を受けてきた。COMPASS試験は、カルボプラチン+ペメトレキセド+ベバシズマブで導入した後、ベバシズマブにペメトレキセドを併用あるいは併用しない維持療法の効果と安全性を調べたものである。
方法:
治療歴がない病期IIIB/IVの非扁平上皮NSCLCの患者で、EGFR野生型、EGFR変異(Del19またはL858R)がないあるいはは不明のものを対象に行われた。導入療法としてカルボプラチン(AUC 6)+ペメトレキセド(500mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg)の治療を3週ごとに4サイクル行った。その後、1:1の割合でペメトレキセド+ベバシズマブあるいはベバシズマブのいずれかの維持療法を3週ごとに行う群にランダムに割り付けられた※。維持療法は病勢進行あるいは毒性中止まで3週ごとに投与された。プライマリエンドポイントはランダム化からの全生存期間(OS)とした。セカンダリエンドポイントとして、無増悪生存期間(PFS)、1次登録(導入療法時点の登録)からのOS・PFS、安全性を設定した。
※導入療法中に増悪していない患者を対象とした維持療法として、当初ベバシズマブ、ペメトレキセド、ベバシズマブ+ペメトレキセドの3群を比較だったがベバシズマブ群とベバシズマブ+ペメトレキセド群の2群に変更された。
結果:
2010年9月から2015年9月までに907人が登録された(1次登録)。治療を受けなかった患者や適格基準を満たさなかった患者を除外し、COMPASS試験の解析対象は856人となった。599人が2次登録しランダム化された。ベバシズマブ+ペメトレキセド群は298人、ベバシズマブ群は301人だった。
1次登録患者の年齢中央値は65歳で、全体のうち男性が73%を占め、病期IVが85%、EGFR野生型が90%だった。治療サイクル数の中央値はベバシズマブ+ペメトレキセド群が6サイクル、ベバシズマブ群が4サイクルだった。
OS中央値は、ベバシズマブ+ペメトレキセド群23.3ヶ月、ベバシズマブ群19.6ヶ月だった(ハザード比0.87、95%信頼区間0.73-1.05、片側層別化log-rank p=0.069)。PFS中央値は、ベバシズマブ+ペメトレキセド群5.7ヶ月、ベバシズマブ群4.0ヶ月だった(ハザード比0.67、95%信頼区間0.57-0.79、両側log-rank p<0.001)で、ベバシズマブ+ペメトレキセド群で有意に延長した。EGFR野生型のサブセット解析では、OSのハザード比は0.82(95%信頼区間0.68-0.99、片側非層別化log-rank p=0.020)だった。
安全性は過去の臨床試験と一致していた。グレード3以上の好中球数減少がベバシズマブ群の1%、ベバシズマブ+ペメトレキセド群の14%にみられ、高血圧はそれぞれ16.6%と11.7%だった。
後治療はベバシズマブ群90.8%、ベバシズマブ+ペメトレキセド群83.9%で適用された。最多レジメンはドセタキセルあるいはnab-パクリタキセルだった。
結論:
プライマリエンドポイントは未達成であったが、ベバシズマブ維持療法にペメトレキセドを追加することで、全体におけるPFSおよびEGFR野生型サブセットにおけるOSは延長した。
by otowelt
| 2020-01-03 00:09
| 肺癌・その他腫瘍