ALIC⁴E試験:インフルエンザ様疾患に対するオセルタミビルは併存疾患がある患者や高齢者で恩恵が大きい
2019年 12月 31日

Butler CC, et al.
Oseltamivir plus usual care versus usual care for influenza-like illness in primary care: an open-label, pragmatic, randomised controlled trial
Lancet, December 12, 2019DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(19)32982-4
背景:
ヨーロッパのプライマリケアでは、リアルワールドでは効果がないと認識されているため、また特に有益な個人が臨床試験で特定できないことから、インフルエンザ様症状に対して抗ウイルス薬はほとんど処方されていない。インフルエンザ様疾患の患者のプライマリケアに抗ウイルス治療を追加することで、全体および主たるサブグループの回復までの時間が短縮されるかどうかを判断した。
方法:
われわれは、プライマリケアでインフルエンザ様疾患を呈する1歳以上の患者を対象に、オセルタミビルを通常ケアに追加する非盲検のランダム化比較試験を実施した。プライマリエンドポイントは、発熱、頭痛、筋肉痛が軽度か全くない状態で通常の活動ができるようになったものと定義した、回復までの時間とした。セカンダリエンドポイントとして、コスト対効果、入院、インフルエンザ様疾患に関する合併症、再受診、新規の増悪症状、重症症状の初回軽減までの時間、症状緩和のための追加処方、抗菌薬使用、家庭内感染、インフルエンザ様疾患の自己対処が含まれた。
結果:
2016年1月15日から2018年4月12日までに、季節性インフルエンザシーズンに3266人の患者がヨーロッパ15か国から登録され、1629人が通常ケア+オセルタミビル、1637人が通常ケア群に割り付けられた。プライマリエンドポイントが確認できたのは、それぞれ1533人(94%)、1526人(93%)だった。3059人のうち1590人(52%)がPCRで確定したインフルエンザ感染症だった。回復までの時間は、オセルタミビル併用群のほうが有意に短かった(ハザード比1.29、95%ベイズ確信区間1.20-1.39)。全体としてのオセルタミビルの平均的な軽減効果は1.02日だった(95%ベイズ確信区間0.74-1.31)。65歳以上の高齢者、重症例、併存疾患がある場合ではこれが3.20日となった(95%ベイズ確信区間1.00-5.50)。
オセルタミビル群で嘔吐や悪心が多くみられた。
結論:
オセルタミビルで治療されたインフルエンザ様疾患のプライマリケア患者は、通常ケアだけで管理された患者よりも平均して1日早く回復した。また、併存疾患があり、症状の持続時間が長い高齢者は、2〜3日早く回復した。
by otowelt
| 2019-12-31 00:33
| 感染症全般