北海道COPDコホート研究:血清α-1アンチトリプシン濃度が高いCOPD患者は予後不良
2020年 01月 13日

Takei N, et al.
Serum Alpha-1 Antitrypsin Levels and the Clinical Course of Chronic Obstructive Pulmonary Disease.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Dec 10;14:2885-2893.
目的:
α-1アンチトリプシン欠損はCOPD発症に関連しているが、血清α-1アンチトリプシンレベルの増加は炎症に反応して起こる。COPDの臨床経過におけるα-1アンチトリプシンレベルの影響は不明だった。10年間の前向きコホート研究のデータに基づいて、血清α-1アンチトリプシンレベルとCOPD患者の臨床経過の関連を調査した。
患者および方法:
われわれは、北海道COPDコホート研究に登録され、α-1アンチトリプシン欠損の基準に合致しなかった278人のCOPD患者を解析した。 278人のうち、GOLD 1期が26%、GOLD 2期が45%、GOLD 3期が24%、GOLD 4期が5%だった。
ベースラインでの血清α-1アンチトリプシンレベルの四分位数に基づき、被験者を3つのグループに分けた:低値群 (<116 mg/dL, n = 66); 中値群(116~141 mg/dL, n = 145); 高値群(>141 mg/dL, n = 67)。1秒量の年間変化およびCOPD増悪イベントが初期5年間モニターされ、死亡率が10年間追跡された。
結果:
ベースラインにおいて、高値群はBMIが低く、胸部CTの気腫スコアが高く、拡散能が低く、血清の急性相タンパクレベルが高く、好中球数が多かった。縦断的解析では、高値群は、1秒量の年間減少が急速で10年死亡率が高かったが、血清α-1アンチトリプシンレベルと初回増悪までの期間に関連はみられなかった。

結論:
COPD患者における血清α-1アンチトリプシンレベルの高さは、全身性炎症ステータスの悪化と10年死亡率の高さと関連していた。
by otowelt
| 2020-01-13 00:24
| 気管支喘息・COPD