自然気胸における胸腔内圧測定
2020年 01月 22日
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Kaneda H, et al.
Measurement of intrapleural pressure in patients with spontaneous pneumothorax: a pilot study.
BMC Pulm Med. 2019 Dec 30;19(1):267.
背景:
気胸の初期マネジメントにはいまだ議論の余地があり、これは初期マネジメントに際してエアリークを評価する良い方法がないためと推測した。われわれは、胸部ドレナージを必要としないエアリークに対処すべく、気胸の胸腔内圧を測定するシステムを開発した。この臨床研究の目的は、当該システムの精度を調べ、エアリークをマネジメントする上での臨床的影響を判断することである。
方法:
自然気胸に対して穿刺吸引が必要である患者が研究に登録された。胸腔内圧は、安静呼吸時に測定され、患者が咳をしているときの記録は除外された。
胸腔内圧は、患者が側臥位になった状態で、気胸側を上にして測定された。胸腔は16G針で穿刺され、圧力計に接続された(DHM-01-4kP, 75 × 135 × 35 mm, 212 g, Kobata Gauge Mfg. Co., Ltd., Osaka, Japan, http://www.kobata.co.jp)。測定中30秒間にわたって針は術者に保持された。この間、呼吸数は10~15サイクルとなる。
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結果:
11人の患者(8人男性、3人女性)が2016年12月~2017年7月に登録された。気胸の度合いに応じて、胸腔内圧の変化パターンは大きく異なった。遷延性エアリークがある患者の吸気終末・呼気終末の平均胸腔内陰圧は、遷延性エアリークがない患者と比較して有意に低かった(1.66cmH2O vs -3.67cmH2O, p=0.020)。吸気終末・呼気終末の陰圧が記録された数は、遷延性エアリークがある患者のほうが遷延性エアリークのない患者と比較して有意に少なかった(1 vs 6, p = 0.0060)。
結論:
この研究では、気胸患者の胸腔内圧を正常に測定し可視化できることを実証した。圧力値が遷延性エアリークの予測因子になるかどうかは、将来的に確認する必要がある。
by otowelt
| 2020-01-22 00:30
| 呼吸器その他