
・参考記事:IPF急性増悪に対する遺伝子組換えトロンボモジュリンは生存率を改善する
日本のガイドラインでは、少数の選択患者には有効である点が明記されています。
Kondoh Y, et al.
Thrombomodulin alfa for Acute Exacerbation of Idiopathic Pulmonary Fibrosis: A Randomized, Double-blind, Placebo-controlled Trial.
Am J Respir Crit Care Med. 2020 Jan 9. doi: 10.1164/rccm.201909-1818OC.
背景:
特発性肺線維症(IPF)の経過中の急性増悪は予後不良である。凝固異常と上皮傷害が、病態生理に含まれる。遺伝子組み換えヒト可溶性トロンボモジュリンである、トロンボモジュリンアルファは抗凝固・抗炎症作用がある。複数の臨床試験で、トロンボモジュリンアルファが急性増悪の生存を改善することが示されている。
目的:
IPF急性増悪におけるトロンボモジュリンアルファの効果と安全性をプラセボと比較すること。
方法:
これは日本の27施設でおこなわれた、IPF急性増悪患者に対するランダム化二重盲検プラセボ対照第3相試験である。患者は、1:1の割合でプラセボあるいはトロンボモジュリンアルファ(380U/kg/日)の14日間治療にランダム化された。全患者は高用量ステロイド治療を受けた。プライマリエンドポイントは90日時点での生存率とした。
結果:
82人がランダム化され、77人が試験を完遂し解析に組み込まれた(トロンボモジュリンアルファ40人、プラセボ37人)。90日時点での生存率は、トロンボモジュリンアルファ72.5%(40人中29人)、プラセボ群89.2%(37人中33人)だった(差-16.7%、95%信頼区間-33.8%~0.4%, p=0.0863)。安全性を検証した80人では、出血の副作用イベントがトロンボモジュリンアルファ群で23.8%(42人中10人)、プラセボ群10.5%(38人中4人)にみられた。
結論:
トロンボモジュリンアルファは、90日生存率を改善しなかった。本研究からはIPF急性増悪に対するトロンボモジュリンアルファの使用は推奨されないと結論づけられた。