
過去の報告でも、フルオロキノロンは肺MAC症の代替レジメンとして有望であることが示唆されています(J Infect Chemother. 2012 Apr;18(2):146-51.)。シタフロキサシンについては慶應義塾大学のグループから有効性が報告されています(Open Forum Infect Dis. 2019 Mar 7;6(4):ofz108)。
Khadawardi H, et al.
Clinical efficacy and safety of fluoroquinolone containing regimens in patients with Mycobacterium avium complex (MAC) pulmonary disease
European Respiratory Journal 2020; DOI: 10.1183/13993003.01240-2019
方法:
カナダのトロントにおけるクリニックで2003年7月~2016年12月までの18歳以上の肺MAC症の患者が登録された(ATS/IDSA基準を満たしたもの)。最低でも2ヶ月以上の処方を受けた場合に、投与されたものと定義した。
後ろ向きに、標準3剤治療(マクロライド-リファマイシン-エタンブトール)またはフルオロキノロン(シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、レボフロキサシン)を含有3剤併用レジメンを受けた場合の2群に分けて解析した。
結果:
300人の肺MAC症の患者がスクリーニングされ、103人が解析基準を満たした。61人が標準治療群、42人がフルオロキノロン含有治療群に該当した。
フルオロキノロン群になった患者は、リファマイシンの副作用(21%)、リファマイシンの肝障害や薬物相互作用の回避(33%)、エタンブトールの副作用(12%)などが原因であった。
喀痰培養陰性化率は、標準治療群で64%、フルオロキノロン群で60%であった。それぞれ治療期間中央値は、8ヶ月、10ヶ月だった。
治療中断に陥った副作用の頻度はフルオロキノロン含有治療群のほうが多かった(19% vs 3%、p=0.008)。

結論:
フルオロキノロンを含む3剤治療レジメンは、おおむねリファマイシンのかわりとして用いられることが多く、副作用は多いものの治療効果は標準治療群と同等である。