
さて、先週末に紹介した138例とほぼ同じ症例数の後ろ向き検討ですが、こちらの武漢の研究は死亡率11.7%とかなり高い死亡率の集団です。
・参考記事:2019-nCoV肺炎138例の後ろ向き検討
Kui L, et al.
Clinical characteristics of novel coronavirus cases in tertiary hospitals in Hubei Province.
Chin Med J (Engl). 2020 Feb 7. doi: 10.1097/CM9.0000000000000744.
背景:
2019-nCoVは、中国の湖北省、武漢においてアウトブレイクした2020年1月に同定されたウイルス感染症である。この研究の目的は、その疫学、臨床的特徴、治療レジメン、予後について記述することである。
方法:
2019年12月30日から2020年1月24日までに湖北省の9つの三次病院の呼吸器内科に入院した2019-nCoV肺炎の臨床データ(一般ステータス、臨床症状、検査データ、画像データ、治療レジメン)を収集した。
結果:
137人(61歳が男性、76人が女性、年齢20-83歳、平均年齢55±16歳、武漢出身50.4%)のうちだれも武漢の海鮮市場の曝露歴はなかった。
主要な初期症状は発熱(81.8%)、咳嗽(48.2%)、筋肉痛あるいは疲労(32.1%)が多く、頭痛(9.5%)、下痢(8.0%)などは頻度が低かった。呼吸困難は19%にみられた。
80%近くの患者が白血球数が正常ないしは減少しており、72.3%にリンパ球減少がみられた。
肺病変は全例で観察され、胸部CTでは多葉にわたる陰影がみられた。浸潤影あるいは索状影にすりガラス陰影を合併するケースも多かった。
効果的な薬剤はなかったが、症状緩和と呼吸補助がおこなわれた。免疫グロブリンが重症患者に投与された。全身性ステロイドが用いられた患者もいたが、効果はみられなかった。早期からの呼吸補助は、回復を早め、予後を改善した。

死亡のリスクとして、年齢、基礎疾患、症状発現から呼吸困難までの時間が挙げられた。
結論:
ほとんどの2019-nCoV肺炎には初期症状として発熱がみられ、多くが典型的なウイルス性肺炎の画像所見を呈していた。中年および高齢の基礎疾患が存在すると呼吸不全に陥りやすく、予後が不良になるかもしれない。