COVID-19:肺炎の胸部CTの経時的所見

COVID-19:肺炎の胸部CTの経時的所見_e0156318_2252711.png 4日ごとに胸部CTを撮影して、COVID-19の肺炎の画像経過についてまとめた論文です。・・・被曝は大丈夫なんでしょうか、ボソッ。
 それにしても、論文書くのほんと早いですね、みなさん。尊敬です。
 治療前と治療後のざっくりとした比較についてもRadiologyに掲載されています。

・参考論文:Pre- and Posttreatment Chest CT Findings: 2019 Novel Coronavirus (2019-nCoV) Pneumonia

Pan F, et al.
Time Course of Lung Changes On Chest CT During Recovery From 2019 Novel Coronavirus (COVID-19) Pneumonia.
Radiology. 2020 Feb 13:200370.


背景:
 胸部CTは、COVID-19の肺炎における重症度のアセスメントに用いられる。

目的:
 初期診断から患者が回復するまでのCOVID-19の肺炎に関連した胸部CTの変化を同定すること。

方法:
 この後ろ向きレビューでは、2020年1月12日から2020年2月6日までにRT-PCRでCOVID-19感染症と診断された患者を組み入れた。重症の呼吸不全や酸素療法を必要とする患者は除外された。4日ごとに胸部CTを繰り返し撮影された。CTスコアは、肺病変の総合評価とした(5葉を1-5点で評価:合計0-25点、0点:進展なし、1点:<5%の面積の進展、2点:5~25%の面積の進展、3点:26~49%の面積の進展、4点:50~75%の面積の進展、5点:>75%の面積の進展)。

結果:
 21人(6人が男性、15人が女性、年齢は25-63歳)がCOVID-19の肺炎と診断され、評価された。これらの患者全員で合計82回の胸部CTを撮影され、平均間隔は4±1日だった(範囲1-8日)。全患者は平均17±4日で退院した(範囲11-26日)。肺への進展が最大となったのは症状出現から約10日目である(平均合計CTスコア6点)(R2=0.25), p<0.001)。0日目から26日目までの四分位数ごとに分けると、以下のような4ステージが同定された。

■ステージ1(0-4日目):GGO(24人中18人[75%]):平均合計CTスコア2±2
■ステージ2(5-8日目):crazy-paving patternの増加(17人中9人[53%]):平均合計スコア6±4、p=0.002
■ステージ3(9-13日目):浸潤影(21人中19人[91%]):平均合計スコア7±4
■ステージ4(14日目以降):crazy-paving patternを伴わない浸潤影の軽減(20人中15人[75%]):平均合計スコア6±4



COVID-19:肺炎の胸部CTの経時的所見_e0156318_2214235.png
(文献より引用:各症例の合計CTスコア)

結論:
 重症呼吸不全のないCOVID-19の肺炎から軽快した患者において、胸部CTにおける肺病変の重症度は症状発現から約10日目が最大である。




by otowelt | 2020-02-15 00:39 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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