肥満低換気症候群におけるAVAPS-AE vs ST

肥満低換気症候群におけるAVAPS-AE vs ST_e0156318_1636326.png 肥満低換気症候群に対するAVAPSの有効性について。呼吸器科でもAVAPSを使う機会は増えてきましたね。

Patout M, et al.
AVAPS-AE versus ST mode: A randomized controlled trial in patients with obesity hypoventilation syndrome.
Respirology. 2020 Feb 13. doi: 10.1111/resp.13784.


背景および目的:
 AVAPS-AEは、設定された標的1回換気量を維持するために圧サポートレベルを自動的に調整する換気モードである。この研究の目的は、安定期肥満低換気症候群の患者において、2ヶ月のAVAPS-AE換気と圧サポートSTモード換気の睡眠の質に対する影響を比較することである。セカンダリアウトカムとして、血液ガス分析、健康関連QOL、日中の眠気、主観的睡眠の質、NIVコンプライアンスを設定した。

方法:
 これは前向き多ランダム化比較試験である。肥満低換気症候群の連続患者のうち、日中のPaCO2>6kPa、BMI≧30kg/m2、2週間を超えて臨床的に安定しており、NIVを装着したことがないものを登録した。ポリソムノグラフィは中央で2人の独立した専門家が評価した。プライマリエンドポイントは2ヶ月時点での睡眠の質の改善とした。

結果:
 69人のうち、60人がNIVセットアップが可能だった。ベースラインとフォローアップのポリソムノグラフィは、ST群26人、AVAPS-AE群30人で解析可能だった。ベースライン時のPaCO2は、ST群6.94±0.71kPa、AVAPS-AE群6.61 ± 0.71kPaだった(P = 0.032)。客観的な睡眠の質に両群の差はなかった。PaCO2の改善は、ST群-0.87 kPa (95%信頼区間-1.12 to -0.46)、AVAPS-AE群-0.87 kPa (95%信頼区間-1.14 to -0.50)で有意差はなかった(P = 0.984)。一晩の平均NIV使用時間は両群ともに平均6.2時間だった(P = 0.93)。NIVセットアップ期間は、AVAPS-AE群のほうが短かった(P = 0.012)。

結論:
 2ヶ月のAVAPS-AEおよびST換気は睡眠の質やガス交換において同等の効果だった。





by otowelt | 2020-04-10 00:02 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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