COVID-19:浙江省における62例の臨床的特徴

COVID-19:浙江省における62例の臨床的特徴_e0156318_2252711.png 武漢外、日本では湖北省の次に流行地域として指定された浙江省から、まとまった報告です。

Xiao-Wei Xu, et al.
Clinical findings in a group of patients infected with the 2019 novel coronavirus (SARS-Cov-2) outside of Wuhan, China: retrospective case series
BMJ 2020; 368 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.m606


目的:
 COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に感染した中国浙江省の患者の臨床的特徴を調べること。

デザイン:
 後ろ向きケースシリーズ。

セッティング:
 中国浙江省における7つの病院。

参加者:
 PCRでSARS-CoV-2と確定した62人の入院患者。データは2020年1月10日から2020年1月26日まで収集した。

治療:
 ほとんどの患者はインターフェロンα吸入(50μg1日2回)、ロピナビル/リトナビル(400mg/200mg1日2回)、ウミフェノビル(200mg1日2回)治療を受けていた。呼吸回数が30回/分を超えるケース、酸素飽和度が93%以下のケース、多発性の肺炎があり48時間以内に50%増加するケースでは、ステロイド(メチルプレドニゾロン40-80mg/日)およびガンマグロブリン(15-20g/日)が投与された。またほとんどの症例では、7日以上発熱が続く場合やCRP3mg/dL以上の場合に抗菌薬(キノロン、第2世代βラクタム系)が併用された。

主要アウトカム:
 標準化された症例報告フォーマットを用いて得られた、体温、曝露歴、潜伏期間などの臨床データ。情報が不明確な場合、杭州のワーキンググループが明確化のために患者の主治医に連絡した。

結果:
 62人が対象となった。25人(40%)は19~40歳、33人(53%)は41~65歳、若年層は2人(3%)がそれぞれ10歳、11歳、高年層は2人(3%)が65歳以上だった(年齢中央値41歳)。
 1人のみがICUに入室した。本ケースシリーズでは死亡例はなかった。本研究では、浙江省の感染患者は誰も武漢の海鮮市場に曝露歴はなかった。全例、ヒトヒト感染によって感染していた。20人(34%)に家族内発生がみられた。
 20人(32%)が基礎疾患を有していた。7人(11%)が肝疾患、5人(8%)が高血圧、1人(2%)がCOPD、糖尿病、腎疾患、脳血管疾患を有していた。
 入院時血液検査では、19人(31%)に白血球減少(<4000/μL)がみられ、26人(42%)にリンパ球減少がみられた(<1000/μL)。D-ダイマーは正常範囲だった(中央値0.2mg/L)。10人(16%)の患者でAST上昇がみられた。
 胸部画像検査では1人をのぞいて全例に異常がみられた。42人(84%)に両側の肺炎像がみられた。
 もっとも観察された初発症状は、発熱48人(77%)、咳嗽50人(81%)、喀痰35人(56%)、頭痛21人(34%)、筋肉痛あるいは倦怠感32人(52%)、下痢3人(8%)、血痰2人(3%)だった。2人(3%)のみが入院時に息切れを訴えていた。
 曝露から発症までの潜伏期間中央値は4日だった(IQR 3-5日)。発症から入院までの期間中央値は2日(IQR 2-4日)だった。
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(治療とアウトカム:文献より引用)

結論:
 2020年2月前半時点で、武漢でSARS-CoV-2に感染した初期患者と比較すると、浙江省の患者は比較的軽症だった。




by otowelt | 2020-02-19 21:04 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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