COVID-19:癌患者のCOVID-19は重症イベントリスクが高い

COVID-19:癌患者のCOVID-19は重症イベントリスクが高い_e0156318_2252711.png 言うまでもなく、癌患者さんはハイリスク群ですね。

Liang W, et al.
Cancer patients in SARS-CoV-2 infection: a nationwide analysis in China.
Lancet Oncol. 2020 Feb 14. pii: S1470-2045(20)30096-6. doi: 10.1016/S1470-2045(20)30096-6.


概要:
 2020年1月31日までに、575施設からCOVID-19患者2007人のデータを収取した。全員PCR確定例だった。診療記録不備などで417人を除外した。
 残った1590人のCOVID-19患者のうち18人(1%:95%信頼区間0.61-1.65)が癌の既往を有していた。これは中国全体の有病率と比べて多かった。18人の癌種は、肺癌が最も多く(5人、28%)、過去1ヶ月に化学療法や外科手術などの癌治療を受けていたのは16人中4人(25%)だった(2人は治療歴不明)。残りの12人(25%)は初回の外科切除後のサバイバーであった。
 癌のない患者と比較すると、癌患者は高齢で(平均年齢63.1±12.1歳 vs 48.7±16.2歳)、喫煙歴が多く(22% vs 7%)、呼吸困難が多かった(47% vs 23%)。また、ベースラインの胸部CT所見が重症になりやすかった(94% vs 71%)。両群に性別やその他基礎疾患の差はなかった。
 癌患者のCOVID-19は、重症になる頻度が高かった(39% vs 8%, p=0.0003)。過去1ヶ月に癌治療をうけている集団ではさらに重症イベントのリスクが高かった(75%)。年齢、喫煙歴やその他合併症といったリスク因子で補正したロジスティック回帰によるこれらのオッズ比は5.34(95%信頼区間1.80-16.18、p=0.0026)だった。
 癌患者において年齢は重症イベントのリスク因子だった(オッズ比1.43、95%信頼区間0.97-2.12、p=0.072)。肺癌についてはリスク上昇には寄与しなかった(p=0.294)。重症イベント進展する時間依存性ハザード比を求めるためCox回帰モデルを用いると、癌患者は、癌のない患者と比べてより速やかに悪化することが分かった(重症イベントまでの期間中央値13日[IQR 6-15] vs 43日[IQR 20-未到達]、p<0.0001、ハザード比3.56、95%信頼区間1.65-7.69)。
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(文献より引用)




by otowelt | 2020-02-20 09:52 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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