COVID-19:初期診断において胸部CTはRT-PCRよりも感度がよい

COVID-19:初期診断において胸部CTはRT-PCRよりも感度がよい_e0156318_2252711.png 温州医科大学から、先日の日本放射線科専門医会・医会の勧告とはやや対極的な論文がRadiologyに掲載されました。

■日本放射線科専門医会・医会の勧告:
新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)に対するCT検査については慎重な対応を

 難しいのは、撮影時に放射線科の技師さんや、環境表面の消毒がうまくできていないと、その他の患者さんへの無用なリスクを与えることです。

Yicheng Fang, et al.
Sensitivity of Chest CT for COVID-19: Comparison to RT-PCR
Radiology, Published Online:Feb 19 2020https://doi.org/10.1148/radiol.2020200432


背景:
 COVID-19に対して単純胸部CTが早期診断に有用と考えらているが、現時点でもRT-PCRが診断の標準に位置づけられている。この研究の目的は、COVID-19の初期患者において、胸部CTとRT-PCRの感度を比較することである。

方法:
 台州恩沢医療中心において、2020年1月19日から2020年2月4日までに、①武漢やその他流行地域に渡航歴がある、またはその地域の有症状渡航者と濃厚接触がある、②原因不明の発熱や呼吸器症状がある、を満たす患者に胸部CTとRT-PCRをおこなった。RT-PCRが陰性の患者では1日以上あけて再検をこころみた。これらの患者のうち、RT-PCRと単純胸部CT(5mmスライス厚)の検査間隔が3日以内の患者を登録した。典型的な画像所見について記録された。また、胸部CTおよびRT-PCRによるCOVID-19の診断の同定率を比較した。

結果:
 51人(29人が男性、22人が女性)が組み込まれ、年齢中央値は45歳だった(IQR 39-55歳)。全員咽頭スワブ(45人)あるいは喀痰検体(6人)でCOVID-19と診断された。初発症状から胸部CT撮影までの平均期間は3±3日、初発症状からRT-PCR実施までの平均期間は3±3日だった。51人中36人が初回RT-PCRでCOVID-19と診断された。51人中12人は2回のRT-PCRによってCOVID-19と診断がついた。2人は3回の検査を要し、1人は4回検査を要した。
 51人中50人(98%)に胸部CT異常がみられた(1人は正常CTだった)。異常がみられた50人のうち、36人(72%)が典型的なCOVID-19の陰影だった(末梢優位、胸膜直下のGGO)。
 初回診断率は、胸部CT98%(95%信頼区間90-100%) vs RT-PCR71%(95%信頼区間56-83%)だった(p<.001)。

結論:
 このケースシリーズによれば、胸部CTの感度はRT-PCRよりも高かった(98% vs 71%, p<.001)。RT-PCR陰性であっても疑わしい場合にはスクリーニングのためには胸部CTの撮影が望ましい。





by otowelt | 2020-02-20 13:10 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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