COVID-19:SARS-CoV-2は病初期からTリンパ球が減少する

COVID-19:SARS-CoV-2は病初期からTリンパ球が減少する_e0156318_2252711.png SARSもMERSも、CD4・CD8陽性Tリンパ球は病初期から減少することが知られており、COVID-19も同様の推移のようです。

Guang Chen, et al.
Clinical and immunologic features in severe and moderate forms of Coronavirus Disease 2019.
medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2020.02.16.20023903


背景:
 2019年12月末以降、SARS-CoV-2による重症急性呼吸器症候群の肺炎例のアウトブレイクが武漢から始まり、中国全土、世界へと拡散した。今日まで、COVID-19の免疫学的特徴については報告されていない。

方法:
 単施設後ろ向き研究において、武漢同済医院でPCR確定SARS-CoV-2感染者を2019年12月19日~2020年1月27日まで同定した。免疫学的特徴だけでなく、臨床的、検査的、放射線学的特徴を11人の重症例と10人の中等症例で比較した。
 重症例はSpO2≦93%、呼吸数≧30回/分と定義され、それ以外を本文献では中等症とした。

結果:
 COVID-19患者21人のうち4人(19%)のみが海鮮市場の曝露歴を有していた。7人(33.3%)が基礎疾患を有していた。平均年齢は重症例63.9歳、中等症例51.4歳で、重症例の10人(90.9%)、中等症の7人(70.0%)が男性だった。よくみられた臨床症状は、発熱(100%、100%[それぞれ重症、中等症])、咳嗽(70%、90%)、倦怠感(100%、70%)、筋肉痛(50%、30%)だった。P/F比は重症例のほうが有意に低かった(122.9 vs 366.2)。リンパ球も重症例のほうが低かった(700/μL vs 1100/μL)。ALT、LDH、高感度CRP、フェリチンは重症例のほうが有意に高かった。入院時のIL-2R、TNF-α、IL-10も重症例のほうが高かった(1202.4 pg/mL vs 441.7 pg/mL, 10.9 pg/mL vs 7.5 pg/mL , 10.9 pg/mL vs 6.6 pg/mL)。総Tリンパ球数、CD4陽性T細胞数、CD8陽性T細胞数は、ほとんどすべての患者で減少しており、重症例のほうが中等症例よりも有意に低かった(332.5 vs 676.5、185.6 vs 359.2、124.3 vs 272.0)。CD4陽性T細胞のインターフェロンγ発現は、重症例のほうが低い傾向だった(14.6% vs 23.6%)。

結論:
 SARS-CoV-2は早期にTリンパ球、特にCD4陽性T細胞を侵すかもしれない。これによりインターフェロンγ産生が減少し、重症度と関連する可能性がある。臨床的特徴とともに、Tリンパ球の減少やサイトカインの上昇を含む初期の免疫学的指標は、COVID-19の予後に関する潜在的なバイオマーカーとして役立つ可能性がある。




by otowelt | 2020-02-21 03:46 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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