COVID-19:好中球/CD-8陽性T細胞比は重症の予測因子

COVID-19:好中球/CD-8陽性T細胞比は重症の予測因子_e0156318_822360.png 重症例ではリンパ球減少が目立つのは既知の知見です。

Jing Liu, et al.
Longitudinal characteristics of lymphocyte responses and cytokine profiles in the peripheral blood of SARS-CoV-2 infected patients
medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2020.02.16.20023671


背景:
 COVID-19のリンパ球サブセットとサイトカインプロファイルと疾患重症度との関連性は不明である。

方法: 
 武漢協和医院において、COVID-19患者40人の末梢血検体を採取し、リンパ球サブセットをフローサイトメトリーで解析し、サイトカインプロファイルをイムノアッセイで調べた。
 重症例は、RT-PCRでSARS-CoV-2陽性となったかなjのうち、息切れあるいは呼吸数≧30回/分、酸素飽和度≦93%、P/F比≦300mmHgのうち1つでも満たすものと定義された。

結果:
 40人のCOVID-19患者(15人が男性[37.5%])のうち、13人が重症だった。3人(7.5%)が武漢の海鮮市場に曝露歴があった。全体の年齢中央値は48.7歳だった(重症例は59.7歳)。全体の14人(35%)が基礎疾患を有しており、糖尿病6人(15%)、高血圧6人(15%)などが多かった。重症例の全員、軽症例の85.2%が発熱を訴えた。重症例は、軽症例と比べて喀痰(p=0.032), 筋肉痛 (p=0.041)、悪心(p=0.029)が多かった。
 血液検査では、軽症例と比べて重症例でフィブリノーゲン(p<0.001), D-ダイマー (P=0.008), 総ビリルビン(p=0.007), AST (p<0.001), ALT (p=0.004), LDH (p<0.001), CK (p=0.010), CRP (p=0.006)が有意に高かった。また、重症例はリンパ球数が有意に減少していたが、軽症例では好中球数が上昇していた。重症例では、T細胞、とりわけCD8陽性T細胞の減少と、IL-6、IL-10、IL-2、インターフェロンγの上昇が目立っていた。生存した重症COVID-19患者におけるT細胞数とサイトカインレベルは、軽症例と比べると徐々にではあるが回復していった。
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(リンパ球数とCD-8陽性T細胞数:文献より引用)
 好中球/CD-8陽性T細胞比(N8R)は、COVID-19の予後をもっとも強力に予測する因子だった。
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(N8R:文献より引用)

結論:
 リンパ球減少と前炎症性サイトカインストームは重症COVID-19患者でよくみられ、疾患重症度と関連していた。N8Rは、重症COVID-19の予後を最も強力に予測した。




by otowelt | 2020-02-23 10:56 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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