COVID-19:PCR検査は喀痰検体と咽頭検体のどちらがよいか?

COVID-19:PCR検査は喀痰検体と咽頭検体のどちらがよいか?_e0156318_822360.png これは以前から指摘されていることですね。ただ、母集団54例が本当にCOVID-19かどうかというlimitationもあり、この研究立案にはちょっと疑問です。
 24日付けで、先日にNEJMの報告に照らし合わせ、国立感染症研究所の検体採取指針は「鼻咽頭ぬぐい液」に変更されています。

・参考記事:COVID-19:鼻腔・咽頭のウイルス量の推移

Chenyao Lin, et al.
Comparison of throat swabs and sputum specimens for viral nucleic acid detection in 52 cases of novel coronavirus (SARS-Cov-2) infected pneumonia (COVID-19)
medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2020.02.21.20026187


背景:
 2019年12月に、SARS-CoV-2の感染によるCOVID-19の肺炎が中国武漢で発生した。主にRT-PCRに基づいて診断され、検体はもっぱら咽頭スワブにより採取されるが、診断見逃しが容易に起こる。さらに高い同定と精度が求められている。

方法:
 武漢市金銀潭医院において、WHOガイダンスによりCOVID-19が疑われた54例では、咽頭スワブと喀痰からペア検体が採取されていた。

結果:
 54例の平均年齢は57.3±12.5歳だった。51.9%が男性だった。喀痰検体の陽性率は76.9%、咽頭検体の陽性率は44.2%だった(P=0.001)。36.5%の患者はRT-PCRが両検体で陽性となり、15.4%は両検体で陰性となった。40.4%の患者が喀痰陽性、咽頭スワブ陰性、7.7%が喀痰陰性、咽頭スワブ陽性だった。
COVID-19:PCR検査は喀痰検体と咽頭検体のどちらがよいか?_e0156318_1025659.png
(両スワブの検体結果:文献より引用)

結論:
 喀痰検体によるSARS-CoV-2陽性率は咽頭スワブよりも高かった。われわれは、喀痰検体により診断すべきと考える。





by otowelt | 2020-02-24 12:58 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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