COVID-19:80例の胸部CT所見と臨床所見との相関

COVID-19:80例の胸部CT所見と臨床所見との相関_e0156318_1013880.png 似たような報告が増えてきました・・・。病院が違う、雑誌が違う、で今のところバンバンアクセプトされている感じですね。

・参考記事:COVID-19:肺炎の胸部CTの経時的所見
・参考記事:COVID-19:肺炎63例の胸部HRCT所見
・参考記事:COVID-19:81例の胸部CT所見の推移

Wu J, et al.
Chest CT Findings in Patients with Corona Virus Disease 2019 and its Relationship with Clinical Features.
Invest Radiol. 2020 Feb 21. doi: 10.1097/RLI.0000000000000670.


目的:
 COVID-19と診断された患者の胸部CT写真を評価し、臨床的特徴との関連性を評価すること。

方法:
 2020年1月~2月にCOVID-19と武漢外の当院で診断された80人の患者が対象である。胸部CT写真と臨床データが収集され、その関連性が解析された。

結果:
 合計80人のCOVID-19患者が登録された(52%が男性、平均年齢44±11歳)。
 80人中58人(73%)が咳嗽を、80人中61人(76%)が発熱を有していた。
 よくみられた胸部CT所見(発症から7±4日後に撮影)は、GGO(80人中73人、91%)、浸潤影(80人中50人、63%)、小葉間隔壁肥厚(80人中47人、59%)だった。crazy paving signは80人中23人(29%)、spider web signは80人中20人(25%)にみられた。
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(胸部CT所見:文献より引用)

 ほとんどの病変は多発性で、異常がみられた平均区域数は12±6だった。陰影がもっともよくみられたのは、右下葉(80人中69人、86%)、続いて右下葉外側肺底区(80人中64人、80%)、左下葉後背側(80人中61人、76%)、左下葉後肺底区(80人中65人、81%)だった。
 平均肺炎症インデックス(PII)は34±20%だった。PII値と、リンパ球数、単球数、CRP、プロカルシトニン、症状発現からの期間、体温は有意に相関していた(p<0.05)。

結論:
 COVID-19のよくみられる胸部CT所見は、両肺の多発性GGO、浸潤影、小葉間隔壁肥厚であり、胸膜直下に分布しやすい。肺の炎症と主要症状・検査所見は有意に相関していた。




by otowelt | 2020-02-26 02:58 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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